負担額は1千円程度、出国時に国税として徴収
2017年11月1日(水) 配信
新たな観光財源確保で、出国時に航空券料金などに国税として上乗せする「出国税」の方向で進めることが明らかになった。19年度4月の施行が見込まれる。16年の出国旅客は4100万人ほど。諸外国に倣えば、負担額は約1千円~1800円となる見込み。17年の観光庁当初予算は約210億円で、少なくとも2倍近くの規財政模となる。ただ負担の理解や財源が観光施策に充てられるかなど、未だ問題を抱える状況だ。
使途は「負担者の納得感が得られるようにすること」などを前提に、地域固有文化などの観光資源の深度化や、最先端技術を活用した魅力発信のレベルアップ、航空保安体制の強化などが挙げられた。
政府が定めた観光ビジョン関連施策の、いわゆる非公共予算は約700億円。これらを参考に財源規模は「年間数百億円程度」とした。
諸外国の例を見ると、韓国では出国旅客に1万ウォン(約1千円)、台湾は500台湾㌦(約1810円)を徴収。日本がこれらに倣えば、それぞれ410億円と738億円ほどの財源を得られることになる。
一方、新たな財源については課題も残る。今回の財源が「実際に観光施策に充当されるか」だ。国の財政状況が厳しいなか、財政再建に充てられるのではといった指摘もある。委員からも「どのように担保するのか」との意見も出た。
10月31日の検討会後の記者ブリーフィングで事務局は「税として一般会計に入っていくが、別の法律の措置で税収の使途を限定していくこともある」と強調。使途や費用対効果の検証を行うことも、11月のとりまとめに盛り込んでいく考えを示した。
今後はとくに日本人の理解を得られるかが導入への大きな壁となる。「(国内負担者に)説明責任を求められる」(事務局)と話し、とりまとめまでに受益と負担の関係を理解されるよう課題を精査していく。
「検討会のペースが通常より高頻度かもしれないのが、目標達成が迫っている状況で、短期間で議論してもらった」(事務局)。政府の20、30年の目標を見据えるなか、検討会開始から2カ月半ほどで、新たな国税に向けたとりまとめがなされる。