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手配金の支払いは改善 下請法問題は課題残る OTOA会員調査

2017年11月10日
編集部

2017年11月10日(金) 配信

旅行会社との取り引き OTOA調査

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)はこのほど、6年ぶりに実施した「OTOA会員の実情に関する調査」の結果を発表した。調査は2007年4月、11年2月に続く3回目で、旅行会社との取り引き状況や実態把握などを目的に不定期で行っているもの。旅行会社との取り引きで「手配代金の支払いは契約書通りになされている」と答えた割合は1回目81%、2回目94%、今回96%と改善してきている。一方、「取消料が発生した場合契約書通りに支払われない」という回答は35%となるなど、下請法の問題は依然として課題が残る。
【飯塚 小牧】

 来年施行される「改正旅行業法」で、訪日旅行と国内旅行を扱うランドオペレーターは「旅行サービス手配業」として登録が必要になるなど、オペレーターを取り巻く環境は変革期にある。こうしたことを受け、今年、調査を実施。3月末日時点の会員会社140社を対象に、102社から回答を得た。調査期間は3月16日―4月17日。

 会員会社の規模では、約58%の会社が10人未満で、20人未満で約80%を占める。事業形態は83%(85社)がアウトバウンド・オペレーターを主事業にあげた。12%の12社は第1種の旅行業と答えている。代理業を含め旅行業を行っているのは46%(47社)。

 また、インバウンドについては関連会社を含め42%(43社)が行っていると答え、前回調査時の117社中30社に比べ増加傾向にある。今後、新たに手掛けたい・計画している事業でも、22社がインバウンドを挙げており、近い将来、会員の約半数がインバウンドを扱うことが見込まれる。

 資金繰りについては、恒常的に金融機関から融資を受けている会社は25%、一時的に受けている会社は27%あった。このなかで、融資を受ける要因・原因として最も多かったのが「デポジットなど費用立て替えのため」で75%。前回から13%増と大幅に増加している。次いで「旅行会社の支払いが遅いことによる、海外取引先への支払い費用のため」が50%(複数回答可)。10月17日に東京都内で開いた会見で、速水邦勝顧問は「デポジットを要求するサプライヤーが増加していると見受けられる」と述べた。

 旅行会社との取り引きは、手配代金の支払いは概ね契約書通りになされており、改善されている。反面、海外取引先への手配代金支払い期日と旅行会社からの入金期日の関係は、「ほぼ同じ」が27%と前回から12%減少。「海外への支払い期日の方が早い」が48%と9%増加し、海外への支払いを立て替える会員が増えている。

 また、取消料が発生した際、契約書に基づいて「支払われる」が65%、「支払われない」が35%となった。このうち、実費を含む減額を求められるという声が29%に昇り、明らかな下請法違反が見受けられる。これは前回調査からあまり改善されていない。

 下請法に抵触するような理不尽な取り引きや条件を要求されたことがあるかとの問いでは、「ほとんどない」の42%(前回62%)を「一部の会社である」が51%(前回27%)と上回った。前回から状況は大幅に悪化している。一部旅行会社の名前として13社があがっており、ツアー終了後の値引き要求など不当な事例がある。

 さらに、「ほとんどない」と回答した42%の43社のうち、19社は具体的な下請法違反を示した項目=表=に「あり」と回答した。知らずに下請法違反をしている場合や、旅行会社側も知らずに法に抵触している恐れがあることが推測される。最も多かったのは、「受注後に他社が安い料金を提示したなどの理由で、減額要求や他社に変更された」という項目。こうした事案が発生した際は公正取引委員会や中小企業庁、かけこみ寺などに相談することが有効だが、取り引きへの影響を懸念して踏み出せない会員も少なくない。下請法への理解が望まれる。

 「安全管理・法令順守」については、現地取引先(とくに車両関係)の保険や整備状況、安全管理体制などを把握しているかの問いに「必ず書面で確認している」が89%となった。この結果に対し、速水顧問は「100%でなければならない項目」(速水顧問)と言及。安全管理の徹底をはかっていく。一方、85%の会員が契約時に旅行会社から当該資料を求められており、「オペレーター任せではなく、旅行会社が自ら調べるという意識が高まっていて、良い傾向だ」と評価した。

 OTOAは今回の調査結果を観光庁や日本旅行業協会(JATA)に開示し、オペレーターの現状やルール順守徹底を訴えていく方針。

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