「島川崇の観光・日本再生の道 第80回」出国税に怒れ! 日本人
2017年11月21日(火) 配信
出国税の議論があたかも終わったような様相である。こんな暴論はどうせすぐ反対にあって立ち消えになるだろうと思っていたら、反対意見が思った以上に出ないので驚いている。
出国税が提言された「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」がとりまとめた報告書を要約すると、2020 年に訪日外国人旅行者数を4千万人、訪日外国人旅行消費額を8兆円とする。さらには 30 年にそれぞれを6千万人、15兆円とする目標を実現するために、出入国を円滑化、交通サービスの利便性の向上、海外プロモーションの改革、観光資源の整備を進める必要があり、それには現在の観光予算では足りないので、独自財源が必要であるという論理である。
この内容を日本人はよく見てほしい。日本人にとってのメリットは何もないではないか。実際に外国人観光客誘致に大きく舵を切ってから、日本人はその恩恵を得るどころか、負担を強いられてばかりではないか。
日本人が文句を言わないから徴収作業が簡易になるということで日本人と外国人に区別をつけないとしているが、なぜこのようなことに日本人が負担をしなければならないのか。
増え続ける外国人観光客によって日本人は迷惑なことばかりである。東京や大阪は外国人観光客が増えてホテルが取れず、本当だったら1泊して一杯やりたかったのを我慢して日帰りで帰ることが多くなった。地方でのんびりしようと思ったら、横暴な外国人客ばかりでうんざりし、従業員も外国人が多くなって日本なのに日本語が通じなくなった。主要国際空港が混雑して、出入国にも時間がかかり、空港の周りには中国人を迎える白タクが列をなし、渋滞するから車やバスを使うことに躊躇するようになった。
かつて外国人観光客がもの珍しかった時代ならいざ知らず、なぜ日本全国の新幹線を含むJR全線に外国人は2万9千円などというふざけた金額で7日間も乗り放題になるのか、なぜ日本全国の高速道路を外国人は2万円というふざけた金額で7日間も乗り放題になるのか。我われ日本人の高額負担で、JRや高速道路で外国人に恩恵を与えている意味が分からない。
外国人観光客が増えて直接的経済効果があるというが、関連する店だけは潤うが、我われの生活は一向に上向かない。それどころか、違法民泊が増え、違法白タクが増え、通訳案内士資格を持たない違法ガイドが増え、この人たちは収入に対して税金なんか払ってないから、本来日本国が得るべき税収を取りこぼしている。
まずこれらインバウンドに違法に絡んでいる外国人を取り締まり、払うべき税金を払わせることから始めるべきだ。
(東洋大学国際観光学科長・教授 島川崇)
コラムニスト紹介
東洋大学国際観光学科長・教授 島川 崇 氏
1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部を経て、現在、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。観光で被災地の復興に貢献する枠組みの構築を現在のテーマとしている。
先生のおっしゃることはよく理解できます。日本人は外国人観光客にはたしかに甘いのかもしれません。政府も国民も自国でありながら急激な観光化ニッポンに慣れていません。民泊もしかりです。通訳案内士は猫の手も余る?ほど合格させているのに、(それでも足りずに誰でもガイドで稼げるように通訳案内法を改正してしまいました)実際には団体所属(主要5団体)に観光庁はまかせっきりです。職人気質の徒弟関係のような非合理的なやり方がまかり通っています。もっとマニュアル化し案内士が基本ガイドができるようにすべき。個性は経験から生まれるものです。それなのに自分のやり方は自分だけのものと絶対に共有しない。なにもかも問題だらけです。