若狭路に春を告げる 「お水送り」3月2日実施 福井県小浜市
2017年12月1日(金) 配信
福井県嶺南、古代から塩や海産物を京へ届け、都の食文化を支えた「御食国(みけつくに)」として知られる小浜市で毎年3月2日、若狭路に春を告げる神事「お水送り」が行われる。
全国的に有名な奈良・東大寺二月堂で毎年3月12日に実施される「お水取り」は、実はこの「お水送り」で若狭「鵜の瀬」から流された御香水が、二月堂「若狭井」まで届き、それをくみ上げる神事のこと。
お水送りは752年、若狭の「遠敷(おにゅう)明神」が、東大寺の大仏開眼供養に先立つ“行”に遅れたお詫びに、本尊に供える「閼伽水(あかすい)」を若狭から送ったのが始まりと伝わる。
見どころは、夕刻から同市の神宮寺で行われる「達陀(だったん)の行」。赤装束の僧が、長さ7㍍にもなる巨大たいまつを振り回しながら回廊を練り歩き、魔を祓う様は圧巻。
その後、境内に設けられた大護摩壇の火をたいまつに移し、それを担いだ僧たちの行列が、約2キロ上流の鵜の瀬まで御香水を運び上げる。僧に続いて一般参加者約1500人もたいまつを手に行列に続き、鵜の瀬まで幻想的な光の道を創りだす。
行列が鵜の瀬に着くと大護摩が焚かれるなか、住職が送水文を読み上げ、御香水を遠敷川に注ぎ込む一番の見どころ「送水神事」が行われる。この御香水が10日後に奈良へと流れ着き、東大寺の「お水取り」でくみ上げられることになる。