「津田令子のにっぽん風土記(33)」「嬬恋の冬の魅力を感じてほしい」 ~ 群馬県嬬恋村編 ~
2018年1月13日(土) 配信
群馬県・嬬恋村観光商工課の久保宗之さんは10年以上前から同村の政策や観光に携わり、多様なプロジェクトを手掛けている。
嬬恋村では2006年から日本愛妻家協会などと協力して「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」というイベントが始まった。嬬恋村には日本武尊とその妻にまつわる伝説がある。日本武尊の東征中、海神の怒りを鎮めるために愛妻・弟橘姫が荒れ狂う海に身を投じた。その帰路で日本武尊が現在の嬬恋村境にある鳥居峠に立ち「ああ、わが妻よ、恋しい」と嘆いたというものだ。これが村名の由来となり、イベント開催のきっかけにもなった。
村ではイベントを契機に「愛妻家の聖地」としての取り組みを始め、久保さんはその中心人物の1人。「愛妻の丘」の整備や、「愛妻ブランド開発会議」で商品やサービスの開発を進めたり、「妻との時間をつくる旅」という観光プロモーションを行ったりしている。今では久保さんも日本愛妻家協会の一員だ。ただし協会は「愛妻家を探す人」の集まりなのだそうで、本人に「愛妻家なのですか」とたずねると、にやっと笑って照れくさそうにしていた。
そんな久保さんが、冬の嬬恋村の魅力を教えてくれた。まずはその雪景色だ。「早朝の雪原には、ニホンカモシカやキツネなどの足跡が残っていることもあります」。さらに、近くに浅間山が見えることで気持ちがより大らかになると話す。雪原ではスキーはもちろん、さまざまなアクティビティが楽しめる。2月2、3日の「嬬恋・浅間高原ウインターフェスティバル2018」ではスノーシュー、スノーラフティング、スノーモービルなどを体験できる。2月3日に初開催される「爆雪RUN in浅間高原」は、ゴルフ場の雪の中を走るイベントだ。
星が降るような夜空も大きな魅力だ。1月31日の「愛妻の日」に開かれる「スノーシュー&星空観賞会in万座温泉」では、カラマツ林でのスノーシューツアーと、スキー場での星空鑑賞会を行う。
最近は、住民によるプロジェクト「妻の手しごと」で発売した「嬬恋キャベツ酢」が「グッドデザインぐんま」優秀賞を受賞するなど村全体のブランド力が上がっているようだ。昨年12月、私が出演するFM熱海湯河原の番組に久保さんがゲスト出演したときにも反響が大きかった。
夜や早朝にも見どころが多い嬬恋村。1泊して温泉やスノーアクティビティ、雄大な風景美などをゆっくり楽しむのがおすすめだ。
コラムニスト紹介
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。