外客2869万人、消費額4・4兆円 田村長官「18年はギアアップの年」
2018年1月19日(金) 配信
田村明比古観光庁長官は1月16日の会見で、2017年の訪日外国人旅行者数は、前年比19・3%増の2869万900人だったと発表した。訪日外国人旅行消費額は同17・8%増の4兆4161億円。共に5年連続で過去最高を記録した。18年は「ギアアップの年」(田村長官)とさらに施策を加速させていく。一方、訪客1人当たりの旅行支出は約15万円で2年連続減と、政府目標の8兆円達成に課題が残る。
【平綿 裕一】
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訪客数は、主要20市場で17年年間値と12月単月すべてで過去最高。韓国は同40・3%増の714万200人と急激に伸び、中国の735万5800人(同15・4%増)に肉薄した。台湾、香港と合わせた東アジア市場は約2129万人。初の2千万人超えで、全体の7割以上を占める。
全体を通して、航空路線やクルーズ船寄港数の増加が、訪日需要の喚起につながった。寄港数は同37・1%増の2765回と過去最高。
訪客旅行消費額も初めて4兆円の大台に乗った。国別で中国が1兆6946億円と最も多い。次いで台湾、韓国、香港、米国と続く。1人当たりの旅行支出は15万3921円(同1・3%減)で、2年連続減少。15年の「爆買い」収束以降、減少が続く。
20年までの政府目標8兆円へは、4千万人が20万円使わなければ達成できない。費目別で最も低い娯楽サービス費(5014円)などの底上げがカギとなりそうだ。
出国税、外客誘致法改正へ
「次の通常国会にすぐに提出していく」。田村長官は16日の会見で、国際観光旅客税について発言。昨年12月に使途の基本方針を決定。観光庁所管の法律を改正して、使途を明記すると盛り込まれている。この法律がいわゆる外客誘致法。改正に向けて準備を急いでいる。
一方同法は1977年時点の法律。現状にそぐわない部分も多く、基本方針なども変えていく。
具体的には、観光資源の開発・活用や海外プロモーション施策などを盛り込む。都道府県の海外への情報発信は県単位となっているが、ブロック単位ほどの広域な取り組みとする。
名称も変更。これまでは外客誘致法などの通称だったが「国際観光振興法」とする考え。
旅行の価値を問う
日本人出国者数は同4・5%増の1788万9300人。1800万人には到達しなかった。15年以降回復基調にあるものの、頭打ち感がある。
田村長官は「旅行というものの価値を、今一度考え直す必要がある」と指摘。日本は人口減少や少子高齢化が深刻化している側面がある。「新たに成長させるのは並大抵のことではない。旅行商品をただ売るのでなく、何を得られるのかを提案していかなければならない」と強調した。
国内旅行も含め、改めて“日本人にとっての旅行”の価値が問われている。