日本の潜在能力は高い アトキンソン氏がセミナー講師に
2018年1月31日(水) 配信
□600人が新春を祝う JTB九州観光ネット
JTB九州観光ネットワーク推進協議会(会長=古田和吉・JTB九州社長)が主催する新春賀詞交歓会と第8回観光活性化セミナーが1月10日、福岡市内のホテルで開催された。JTB関係者と九州の旅館・ホテル、行政、観光団体、交通関係者など約600人が出席した。
セミナーでは「世界一訪れたい日本のつくりかた」の著者であるデービッド・アトキンソン氏が、「新観光立国論~Destinationの作り方」をテーマに講演した。
同氏は国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社の社長で、政府の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議委員」などの要職を務め、インバウンド施策への提言を行っている。
講演ではまず「2016年に世界の観光産業が全世界のGDPの10%を占め、第3の基幹産業になっている」と指摘。「日本でも2020年代半ばに観光産業が自動車産業を上回り、30年の訪日客6千万人時代には第2の基幹産業になる」と予測した。
そのうえで「日本は自然、気候、文化、食事とさまざまな条件を満たす」と述べ、「日本の最大の強みが自然で、最強の伸びしろ。自然観光の方が長期滞在になり、多くのお金を使ってもらえる」と強調。
日本が海外に発信してきた歴史・文化と自然体験に魅力を感じる海外客ニーズのギャップも指摘。今後のインバウンド市場では、「成長が頭打ちのアジア」に比べ「2―3週間滞在する欧州市場の開拓が重要」と訴えた。
とくに世界の観光市場の中で、欧州発の観光客が全体の5割を占めると説明。「16年の訪日客の欧州比率が5・9%しかないことは、逆に欧州の潜在需要が高い」と述べ、1番のターゲットは人口を上回る8300万人の年間出国者数があるドイツ。「ドイツから日本へは18万人。タイは84万人が訪れる」と比較した。
デスティネーションの作り方ではアクティビティ、解説案内、座る場所、カフェ、食事、宿泊施設などの要素を挙げ、滞在して体験する仕掛けの大切さを強調。「5つ星ホテルの数も足りない」と指摘した。
最後に「付加価値を高めて、戦略的、計画的にビジネスを展開していくことが重要」と結んだ。
セミナー後には、会場を移して賀詞交歓会が盛大に開催された。