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UNWTOらと日本初調査、日観振ガストロノミーシンポ開催

2018年2月6日
編集部:平綿 裕一

2018年2月6日(火) 配信 

約300人が聞き入った

 

日本観光振興協会(山口範雄会長)は2月5日に東京・国連大学で、ガストノロミーツーリズム(GT)のシンポジウムを開いた。国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所と、ぐるなび(久保征一郎社長)が共催。日観振とUNWTO、ぐるなびが行った共同調査の概要報告も実施した。日本におけるGTを網羅的に調べたもので、日本初の取り組み。日本のGT浸透をはかり、新たな地方創生の原動力とする。

 日観振は15年にUNWTOのアフィリエイトメンバーになった。両者は包括的な業務提携を締結し、歩調を合わせてきた。とくにGTに力を入れ、16年にはツーリズムEXPOに出展。17年からは共同調査を行った。調査ではあいまいだったGTを改めて定義。全国自治体や各都道府県にアンケートを行い、認知度調査や事例抽出などに取り組んだ。

 山口会長は冒頭、「GTは地域の気候・風土や、文化そのものと連動している。異なる文化を互いに理解し合い、顔を突き合わせて親密な関係を構築できる。観光の重要な要素だ」と強調。UNWTO駐日事務所の本保芳明代表は調査を踏まえ、「知見を共有することで、今後のGTの基盤となる」とあいさつした。

 来賓にはUNTWO前事務局長のタレブ・リファイ氏、観光庁の田村明比古長官らが出席。田村長官は、昨年の訪日外国人旅行消費額4・4兆円の内、約20%の8856億円が飲食費だと報告。「食はまさに我が国の強み。地域の将来を考えれば、ガストロノミーのレベルアップは非常に重要だ」と呼び掛けた。

 タレブ氏は「GTは文化と観光を強く結び付ける特徴がある」と述べ、「日本は質素さや純粋さ、優雅さを持ち合わせている。これらは日本食に現われている。世界のどの地域とも異なる」と日本の魅力も伝えた。

 全国規模のGTに関する調査は、日本初の取り組み。「大きな意義があるものだ」(山口会長)。調査は昨年7~10月にアンケート調査、8~10月は特徴ある事例抽出を行った。アンケートは全国自治体と各都道府県約1800箇所を対象にした。同協会の久保成人理事長を委員長に置き、17年に有識者会議を計4回開いている。

 今回はGTを定義。「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・文化などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」とした。ただの美食ではなく、文化に触れることが今回の定義づけの要となる。

 一方、調査では課題もみえてきた。「GTという言葉を見聞きしたことがあるか」との問いで、あると答えたのは約18%。

 「施策・事業として位置づけ、位置づけ予定である」は約22%だった。UNWTOのレポートで同様の質問では、約47%があると回答があり、世界に比べ乗り遅れている。今後は地域の生産者や提供者、行政との認識共有や、協力体制構築などがカギとなりそうだ。

 なお、先進的な取り組みを行う17の事例も紹介。例えば岐阜県高山市の「日本酒の聖地 飛騨高山 酒蔵の挑戦」が挙がった。民間主導で「見せる・飲ませる・買える」を実現した酒蔵ツーリズムの先駆者の1つとなる。

 久保理事長はGTの共同調査について「国内観光活性化や、地方創世の大きな柱となるという考えに基づいて重点的に取り上げた。これからは各地域で、普及や理解を深めるためにシンポジウムなどを開いていきたい」と方向性を示した。

 このほか、UNWTOアフィリエイトメンバー部部長のヨランダ・ペルドモ氏が基調講演を実施。その後パネルディスカッションも行い、約300人の来場者は熱心に耳を傾けていた。

 

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