「津田令子のにっぽん風土記(34)」多種多様な館山の春の魅力満喫 ~ 千葉県館山市編 ~
2018年1月17日(土) 配信
館山市観光協会事務局長の鈴木実さんは、約40年間JA安房に勤め、2006年10月に現職に就任した。その経歴から農家の方をはじめ、地域に知り合いが多い。その人間関係を「武器」にして仕事をしていると鈴木さんは話す。協会職員とともに、体験学習のやり方を変えるなど、さまざまな改革も行ってきた。「のんびりゆったりしていて、資源が豊富にあるという館山の良さを地域外にも発信できるのは楽しいですね。一つに絞ってPRするのは難しいのですが、祭りも自分が色々と手掛け、皆さんの協力を得て作り上げる喜びがあります」と鈴木さんは話す。
そんな鈴木さんが館山市の春におすすめする場所は、まず安房神社だ。ここは安房国の一宮で、春になると、長い参道の両側に咲く桜並木が見事なのだそうだ。最近ではパワースポットとしても人気がある。
館山市は花の名所が多い。安房神社のほかにも、かつて戦国武将・里見氏の居城があり、現在は復元された館山城のある城山公園は、1月から梅や椿が咲き始め、4月には桜やつつじも美しい。また館山ファミリーパークも早春からポピーやスターチスなどさまざまな花が咲き、花摘みも楽しめる。ほかに、房総半島南端の海岸沿いの道「房総フラワーライン」は、見ごろの1月下旬から2月下旬になると、菜の花と海の景色が美しい。
次に鈴木さんが教えてくれたのは小塚大師だ。ここは関東厄除三大師随一の霊場とされ、15年に開創1200年を迎えた歴史ある寺院だ。境内には鐘楼堂や「雉子塚」と言われる松尾芭蕉の句碑などのほか、資生堂の創業者、福原有信らを輩出した福原家の墓もある。福原有信は館山市出身。資生堂のシンボルマークは「花椿」だが、椿は館山市の木でもある。ちなみに館山出身の有名人には、他にもロックミュージシャンなどがいるそうだ。
またイチゴ狩りも魅力の一つだ。やよいひめや、とちおとめなど、時期や農園によってさまざまな品種のイチゴが楽しめる。このように、春の楽しみ方が多種多様にそろっているのが館山の特徴だと鈴木さんは教えてくださった。
今後の館山市の観光振興に向けて、「観光協会と市職員や商工会議所、商店連合、農家の方などが集まって話し合いをする場をつくることが大切だと思います」と鈴木さん。さまざまな人が意識を共有することで、館山市の魅力をもっと広く発信していくことができそうだ。