「井川今日子のおもてなし接客術(29)」外国人へのおもてなし
2018年2月18日(日)配信
外国人観光客が多い観光地や宿にとっては、外国人観光客のマナーの悪さが問題になっているかもしれません。一方で、外国人観光客や日本在住の外国人にとっても、日本人のマナー違反に苦しむことは少なからずあるようです。
今でこそ、マスク着用が普及して、風邪や体調の悪い人、花粉症の人がマスクをしていることも多いですが、何気なく出る咳やくしゃみの時に、口や鼻を手で覆わずにしてしまうというのが日本人だそうです。
外国人は小さいころから咳やくしゃみをする時には、手やハンカチで口を覆うように育てられるそうで、この日本人の行為を非常に不快に思うそうです。
また、鼻をかまずに、鼻水をすすって対処することも、日本人には多いようです。
1度や2度で済めば問題ないのですが、何十回と繰り返し鼻をすすることがほとんどだそうで、その無限に続く鼻すすりの音が外国人にとっては煩わしく、とてつもなく不愉快に感じるそうです。
また、通路を塞ぐ・譲らないというのも、日本人が集団で行動すると思われていることの一つです。
2人で並んで歩くのはまだしも、3―4人が横一列に並んで道を歩くのが日本人だそうです。
その集団に向かって(対向するかたちで)歩いていても、道を譲ってくれることはほとんどなく、結局建物の敷地に入って彼らに歩道を占拠されたまま、道を譲る羽目になるそうです。
他人に無関心で厳しく無礼というのは、すべてに関わってくるものだと思います。
お客様とスタッフの関係だったり、一度交友関係が生まれたりすれば、日本人は非常に礼儀正しい人種ではありますが、それがまったく関係性の無いあかの他人となると、途端に厳しく無礼になるということです。
他人同士で目を合わせてあいさつをしたり、会話をするのは外国人にとって普通の事であるのに、日本人にはそれが異常な行為と見えたり、他人同士がぶつかると、途端に殺伐とした空気が流れることもあります。
「マナーの違いも含めて、異文化に触れるとはこういうことを言うのだ」という考えもありますし、今回取り上げたことはある種の外国人の意見であって、必ずしも外国人全員がそう思っているかと言えば、そうではありません。
ただ、おもてなしを提供する旅館業・観光業に就いている方にとって必要な視点は、日本のマナーはあくまでもジャパニーズスタンダード(日本の基準)であって、グローバルスタンダード(世界の基準)ではないことを常に認識しておく必要があります。
相手の事を思って為すというのが、おもてなしの意味ですが、日本のマナーを当然と思うのではなく、相手の国々のマナーを意識して対応していく心掛けも持ちたいものです。
(おもてなしコンサルタント 井川 今日子 )
コラムニスト紹介
おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏
大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案。