VR産業に熱視線、経産省らがセミナー開く
2018年2月20日(火) 配信
VR(仮想現実)などの先進技術を使ったコンテンツ産業に熱視線が集まっている。訪日外国人のコンテンツ関連消費額は右肩上がりで、12年に76億円だったのに対し、16年には529億円まで増加。453億円増の6・92倍と驚異的な伸びを示している。政府もVR関連施策や予算組みに着手し始めた。
経済産業省が主催し、文化庁と共同で2月20日(火)に「VRコンテンツセミナー」を開いた。経産省を始め、関係省庁らのVR関連政策や予算を説明。コンテンツ産業の現状のほか、今後の方向性を語った。
国内コンテンツ市場規模は09年から12兆円でほぼ横ばい。海外は14年に67・7兆円だったが、20年までに84・9兆円と、市場の沃野は広がりをみせる。同省が行う過去5年間のコンテンツ海外展開支援事業(J-LOP事業)は、海外における認知度向上、日本ブーム創出に一定程度成功。同事業は13年に開始したが、これまで採択件数は5623件で、海外売上増加額は1916億円と拡大している。
ただ課題はある。中長期的な課題としては競争の激化と投資不足だ。グローバル化に伴い、国内消費者も海外コンテンツへのアクセスは容易化。需要の取りこぼしが懸念材料となる。クリエーター育成や視野拡大を始めとしたコンテンツ産業全体への投資も不足し、人材を育てる素地が整っていない。
「今後の方向性としては稼ぐ力の向上とコンテンツ産業の競争力強化を念頭に置く。VR/ARなどの新技術の取り組みを積極的に支援していく」。経産省商務情報政策局コンテンツ産業課山田仁課長は、コンテンツ産業の底上げを支援すると強調した。このほか文化庁、農林水産省、観光庁らも異口同音に「VR関連事業などを促進していく」と話した。各省庁は今後、VR関連予算を組み込み、VR関連施策を加速。VRなどの最新技術を使ったコンテンツ作りをサポートし、新たなにぎわいを創出していく考えだ。