〈旬刊旅行新聞3月1日号コラム〉「いい旅館にしよう!Ⅱ」3月書籍化 成功物語ではない経営者の息遣いを
2018年3月1日(木) 配信
本紙2016年3月1日号から17年11月1日号まで掲載してきた人気対談シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の書籍化が決まった。3月20日の発行を目指し、現在最後の仕上げ作業を行っている。
今回登場するのは、
①「ホテルナトゥールヴァルト富良野」の小林英樹社長
②「ベッセルホテルズ」の瀬尾吉郎社長
③「ホテルエクレール博多」の永安重喜支配人
④「蟹御殿・風の森」の荒川信康社長
⑤「千草ホテル」の小嶋亮社長
⑥「明神館」の齋藤茂行会長
⑦「クア・アンド・ホテル」の三森中社長
⑧「有馬グランドホテル」の梶木実社長
⑨「スーパーホテル」の山本梁介会長
⑩「ホテルグランメール山海荘」の杉澤むつ子会長
⑪「福一・旅邸諧暢楼」の福田朋英社長
⑫「白玉の湯華鳳 別邸越の里」の飯田美紀子女将
⑬「風望天流太子の湯 山水荘」の渡邉和裕社長
⑭「グランディア芳泉」の山口賢司代表取締役専務
⑮「ホテルニューツルタ」の鶴田宏和経営企画室長
⑯「べっぷの宿ホテル白菊」の西田陽一社長――の16人。
対談相手は、工学博士で、サービス産業の労働生産性について第一人者の内藤耕氏(サービス産業革新推進機構代表理事)だ。
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14年7月1日に発行した前著の「いい旅館にしよう!」シリーズ第1弾は、15人の経営者が登場し、多くの反響を得た。あれから3年8カ月が経ち、今回の第2弾は、前シリーズを超えるバリエーション豊かな顔ぶれと内容になっている。
宿泊産業を取り巻く環境はこの1―2年で大きな変革期を迎えている。急激に拡大する訪日外国人旅行者に対応するため、従来の旅館やホテルといったカテゴリーでは捉えられない新しいスタイルの宿泊施設が現れている。
今年6月15日には、住宅宿泊事業法(民泊新法)も施行される。この荒波の中で、旅館・ホテルの舵取りの難しさは想像に難くない。
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書籍に登場する経営者のほとんどは、宿の現場を直視しながら、試行錯誤を繰り返している現在進行形の最中での対談である。このため幾つかの宿では、対談当時とは、経営環境や経営方針が大きく変わっている施設もある。しかし、書籍では、その時点で経営者が直面している課題や、その解決に向けた姿勢、熱意、苦悩などを最優先し、ほとんど手を入れずそのまま掲載した。行間に、経営者の息遣いを感じていただけるのではないかと思っている。
決して、美しいサクセスストーリー(成功物語)をかき集めたものではない。16人の生身の体温が感じられる対談集となっている。
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前著「シリーズⅠ」のあとがきには、「時を経て、時代や環境がどのように変化したとしても、本書に詰まった経営者の肉声は古びることはないだろう」と記した。
シリーズⅡの書籍も同じ思いである。旅館・ホテルの孤独な経営者の相談相手となり、未来の経営者の「友人」として本書が長く愛されることを願っている。
(編集長・増田 剛)