「旅行業、観光産業をリードする立場に」JATA田川会長
2018年2月28日(水) 配信
日本旅行業協会(JATA)は2月26日(月)、東京都内で「JATA経営フォーラム2018」を開き、300人を超える会員が参加した。そのなかで、田川博己会長は「18年はこれまで以上に観光産業に向けられる関心や期待が高まる」と予測。「我われ旅行業界は中心となり、リードする立場でありたい。産業として発展し続けるための土台の年として位置付け、変化する環境に素早く対応していきたい」と意気込んだ。
また、19年から導入される国際観光旅客税に触れ、「双方向交流が進化することが、観光先進国の目指すべき姿。JATAとして海外旅行の活性化につながる提案を行っていく。旅行産業の革新や人材育成に関する要望書も出し、価値創造産業への進化の契機としたい」と述べた。
一方、昨年のてるみくらぶ破綻は社会に大きな影響を与えたことから、「業界の信頼回復をはかっていく。しっかり昨年のことを肝に銘じて前に進みたい」とした。
来賓の観光庁の田村明比古長官は、今回のテーマ「旅行業の『新しいカタチ』の追求!―旅行業の役割とは―」について、「旅行業が十数年来問われているテーマだと思う。本格的な人口減少を迎え、個人の可処分所得は必ずしも増加していない我が国では、現状のまま何もしなければ市場が大きく成長することは難しい」と言及した。
比較として先進10カ国のGDPに占める旅行消費の割合を紹介。1位のドイツは10・0%、次いでイギリスは8・3%、オーストラリアは8・1%を占めるが、日本は4・6%で10カ国中最下位。このうち、他国が1~2%で推移する海外旅行消費に至っては0・5%に過ぎない。「海外旅行に行かないと言われるアメリカでも0・8%。各国で地理的、経済的、社会的環境が異なるとはいえ、日本人の旅行消費は見劣りしている。原因は複合的なものであり、政府全体で取り組んでいかなければならない」とする一方、旅行業へも変革を要求。具体的に、日本人が旅行に持っている固定観念を打ち破る努力や、労働生産性の向上などを求めた。「旅行業界の経営改革が進み、付加価値の高いサービスが提供されることは、日本の観光産業全体のレベルアップにつながると確信している。旅行業が重要なカギを握っている」と期待を込めた。
旅行業界の経営改革はまったなし。付加価値の高いサービスが提供されることが必要ということは言うまでもありませんが、それを支える優れた人材が観光業界には不足しているのではないでしょうか?観光業への表面的な関心は子ども時代から高いものの、キャリア教育の方面では必ずしも優れた人材が供給されていません。今こそ、時間はかかるものの観光基礎人材の育成に乗り出し、中核人材育成にその中から優れた人材が輩出されることを期待しています。観光教育の推進を業界も関心を抱き、サポートして頂きたいものです。