〈出番です〉下町でふれあい観光を 町家の保存・再生も
2018年4月10日(火) 配信
下町風情が色濃く残る鳥取県米子市で、観光ガイドや町家の保存・再生事業などに取り組む米子観光まちづくり公社が4月1日に発足した。建築士や不動産業者、ブロガー、陶芸家など米子のまちづくりに関心が深い15人が出資し設立。市観光協会が運営してきた「米子下町観光ガイド」を公社が引き継ぎ、有料化に移行。名称も「城下町米子観光ガイド」と一新した。
江戸時代からの町家をリノベーションした事務所も灘町にオープン。観光客用の休憩処や和文化体験スペースも設け、〝まちなか観光の拠点〟としてスタートさせた。
理事長の川越さんは元県職員。約6年前から米子でボランティアガイドを始めた。現役時代は観光畑ではなかったが、出向先でコンベンション誘致に奔走した際、「自然や食、温泉は全国どこにでもある。ここにしかない魅力を具体的に語る重要性を痛感した」と振り返る。地域の魅力を深堀する着眼点を得たのはそのときだ。
「例えば豪商・鹿島家はその昔、米子城小天守の解体修理に多額の資金を拠出し、御礼にしゃち鉾が贈られた。それが今でも無造作に中庭に置かれているのが米子の歴史のすごいところ」と語る。一方で、「現状はいわゆる外観見学だけのツアーになってしまうことも多い」とし、4月からの新しいガイドツアーでは、基本コースは設けるが、内容などは臨機応変に対応する。
「案内先でお客様と地元の人がふれあう。満足度を高めるにはそれしかない」と、極力ふれあいの場面を設ける予定だ。
公社ではガイド事業と同時に、近隣の町家の保存や活用策など相談窓口も常設する。「町家の減少に何とか歯止めをかけたい。調査の結果、約700棟の町家があることがわかった。町家が残る城下町の姿を守っていきたい」。実際、公社の事務所となった町家も取り壊される寸前だったという。
「今後はガイド養成のほか、タクシーやバス運転手などを含めた地元全体での観光に対する意識改革も重要。外国人観光客のガイドも積極的に行っていきたい」と意気込む。