ぴあライブ・エンタテインメント白書2009
ぴあ総合研究所が2008年のライブ・エンタテインメントの動向をまとめた「ぴあライブ・エンタテインメント白書2009」によると、08年の市場規模は前年比1・2%増の1兆1600億円となり過去最高を記録したという。音楽、ステージ、映画、スポーツ、遊園地・テーマパークの5ジャンルの市場について、公演回数や動員数、市場規模(チケット販売市場)の3つを基本指標に市場実態を把握した。
「市場規模は1兆6000億円、遊園地・テーマパークは苦戦目立つ」
市場は01年以降、1兆1千億円台をほぼ横ばいで推移。08年も微増だが、日本経済が低迷するなかでは「健闘している」と評価。音楽やステージ、スポーツが前年を上回った。一方、動員数は1・0%減の3億4118万人で、1人当たり単価の上昇が市場規模を押し上げる結果となった。
各ジャンルの概要は次の通り。
音楽(市場規模3・9%増の1503億円 動員数2・8%増の2440万人)市場規模、動員数のいずれも前年を上回り、再び増加に転じた。ポップスが市場規模で6・5%増、動員数で5・0%増と好調だったことが全体を牽引。韓国アーティストのコンサートが活況で、来日公演は29・6%増。国内公演もアリーナクラス以上の大規模公演が盛況だったほか、07年に失速したロック・フェスティバル市場も復調した。その一方で市場規模の約2割を占めるクラシックは、来日公演の不振で市場規模0・9%減、動員数1・1%減とやや不調だった。
ステージ(3・9%増の1671億円 3・4%増の2325万人)市場規模、動員数とも伸長。市場規模は、パフォーマンスほかを除く5分野すべてで前年を上回った。とくに市場規模全体の5割を占めるミュージカル(市場規模7・4%増、動員数17・2%増)と1割弱のお笑い/寄席・演芸(15・2%増、17・2%増)の好調が寄与した。ミュージカルは劇団四季や宝塚歌劇団、東宝ミュージカルの安定した動員に支えられながら、芸能プロダクション制作の新しいミュージカルなどでここ数年は増加基調。
映画(1・8%減の1948億円 1・7%減の1億6049人)2年連続の前年割れ。大規模ヒット作に恵まれなかった洋画の市場規模が、23・9%減の790億円と大幅に縮小したのが原因。邦画は「崖の上のポニョ」(興行収入155億円)を筆頭に興行収入10億円以上が28作品と恵まれ、22・4%増の1158億円と健闘。1スクリーン当たり動員数および市場規模は、1998年をピークに減少に転じ08年も歯止めがかからず、それぞれ4万7779人、5800万円と減少した。
スポーツ(1・6%増の1057億円 2・3%増の2816万人)市場規模、動員数ともいずれもプラス成長。野球、サッカー、相撲の3ジャンルが双方とも前年を上回ったのが要因。とくにサッカーは、Jリーグ発足以来最高の813万人の動員数を記録し、6・0%増の伸び。08年はJ1昇格クラブをはじめ好成績を収めたクラブの動員数が増加したほか、J2に新規チームが加入したことで試合数も増え、市場拡大につながった。野球も個人向け一般チケットの売上が好調で、05年以降市場規模の拡大が続いている。また、相撲は4年連続で前年を上回った。
遊園地・テーマパーク(0・9%増の5420億円 2・5%減の1億488万人)景気低迷によるレジャー需要の落込みと円高に伴う外国人客減少も加わり、苦戦した施設が目立った。動員数上位施設をみても、トップ20施設のうち過半数の11施設で前年割れとなった。一方、市場規模全体の5割のシェアを占める東京ディズニーリゾートは、ディズニーランド開園25周年を迎え、08年4月から実施した周年イベントが寄与し、動員数は過去最高の2684万人(前年比4・7%増)、市場規模は2942億円(同7・6%増)と好調に推移した。