全国の旅館でEV充電、日産と全旅連が連携
全国旅館生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長)と日産自動車(カルロス ゴーン社長)は2月1日、電気自動車(EV)の充電インフラ整備を中心とした、低炭素・循環型社会の実現に向け連携して取り組んでいくことで合意した。同日、東京都内の全旅連本部で覚書を締結、その後会見を開いた。
全旅連は組合に加盟する約1万8千軒の宿泊施設に電気自動車の充電インフラを整備し、電気自動車を利用したエコな宿泊旅行を広めていく。
一方、日産自動車は10年度後半から日本や米国、欧州で販売するファミリー向け電気自動車「リーフ」(5人乗り)に搭載されるナビゲーションシステムに、充電インフラの整備された宿泊施設を表示するなど、相乗効果を目指す。
現状では航続距離の不安などから、近場の利用が多い電気自動車だが、「全国の旅館やホテルで充電ができる」という安心感によって、電気自動車の普及と、電気自動車を利用した長距離でエコな旅の提案をしていきたい考えだ。
具体的な取り組みとして全旅連の佐藤会長は、「大半の宿泊施設は、外壁にネオンや自動販売機用の100―200Vのコンセントが設置されていて、それを利用すれば低コストで充電コーナーが設置できる。500Vでは30分で急速充電できるが設置コストが高い。100Vでは充電に16時間かかるが、午後4時から翌8時ごろまで宿泊客が滞在する旅館には、逆に日帰り化から宿泊旅行に結びつけるきっかけとなる」とメリットを強調した。さらに、「1キロあたりの移動コストは1・2円程度で、フルに充電しても料金は150―200円程度。これを旅館が負担するように会員施設にお願いしていきたい」と述べた。
日産自動車の志賀俊之COOは「北海道から沖縄まで1万8千会員を有する全旅連との連携によって、電気自動車や、航続距離への不安が解消される。今後も全旅連をはじめ、あらゆる業種と協力しながら低炭素社会の実現に貢献していきたい」と語った。
佐藤会長は「今年中にも50キロごとに充電できる宿泊施設があるような環境を目指す」考えを示した。