観光経営マネジメント教育、6大学でカリキュラム案実施
「他学部、他大学との連携必要、社会人教育は都市・地方部にも需要」
観光庁は2月9日、第4回観光経営マネジメント教育に関する産学官連携実践ワーキンググループを開いた。
昨年末から2月6日にかけて和歌山大学、山口大学、首都大学東京、立命館アジア太平洋大学、横浜商科大学、早稲田大学の6大学で実施された、観光経営マネジメント研修の結果を報告したほか、同研修のもととなるカリキュラムモデル(案)の一部見直しも行った。
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同研修は、観光経営マネジメントに必要となる基本的な知識やノウハウを習得し、変化する経営環境に対応可能な経営マネジメント人材の育成を目的とし、公募で選ばれた6大学で実証実験を行った。
1コマ90分×12回の講義で、6大学に267人の申し込み受講者があった。受講者は学生が34・1%、旅行業13・5%、官公庁8・6%、観光関係団体4・9%、運輸3・4%、シンクタンク2・6%、旅館・ホテル2・2%など。全体の約3割を占める28・3%がマネジメント層からの参加で、将来的にマネジメント層となる可能性の高い「係長・主査」を合わせると、41・1%にのぼる。
受講目的は「観光経営マネジメントに関する知識の習得」が39・7%で最も多く、次いで「現在のビジネス・業務の参考」が26・9%と続く。
カリキュラムモデルに含まれる経営戦略やIT、会計、財務、マーケティング、人事・組織、ビジネススキル、産業論、語学・歴史など専門教養などを、週末集中講座や夜間通期講座などで受講した。
受講者を対象に行った満足度調査では、大変満足が53・8%、満足が20・5%と7割以上が満足した結果となった。
今回はパイロットプログラムだったため、受講料は無料だったが、41・0%の人が有料でも「今後受講したい」と答えた。受講料については2千―5千円が多く、高額では3万円という回答もあった。
カリキュラムモデルの改訂では、例えば、財務分野で「コーポレートファイナンス」はアセットマネージャー向けであり一般的でない、との理由から科目を削除し、その基本的な内容を「財務概論」で扱うなど一部見直しを行った。
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今回の研修の結果を受けて、受講生や大学側の意見を取り入れながら、ワーキンググループは中間とりまとめを行った。
それによると、「観光系学部・学科単独ですべての科目を開講することは困難であり、カリキュラムモデル案を実践するには、経営学部や商学部など他学部や他大学との単位互換などの連携が必要」などと指摘。また、社会人(従業員)マネジメント教育のあり方については、「急激に経営環境が変化する昨今、1社単独で従業員教育体制の整備は困難で、今後は、高度な専門性を有する観光系大学への社員教育のアウトソーシングが有効」とし、今回の研修を通じて「都市部・地方部を問わず、観光経営マネジメント教育に、一定規模の需要があることが明らかになった」とまとめた。