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パソナ・加藤副部長に聞く シェアリングワークと観光

2018年4月23日
営業部:後藤 文昭

2018年4月23日(月) 配信

ソーシャルイノベーション部 加藤遼副部長

6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行を控え、シェアリングエコノミーを活用した「シェアリングワーク」に注目が集まっている。総合人材サービス業を行うパソナ(佐藤司代表取締役社長COO)は、阿波踊り期間中のイベント民泊実施や「シェアリングワークカレッジ」などを通じ、定着に注力している。事業の中核を担うソーシャルイノベーション部の加藤遼副部長に、個人の活躍が観光業をどう変えるのか、育成はどこまで進んでいるかを聞いた。

  ――日本で「シェアリングワーク」の環境はどこまで整えられていますか。

 住宅宿泊事業法や、改正通訳案内士法の施行など法整備が進み、個人が自身の知識やスキル、資産を生かした「シェアリングワーク」に参入できる環境は整いつつあります。しかし、サポート体制が充実しているとは言い難い状況です。今後、個人で事業を行ううえで必要な教育研修や、業務支援などのメニューをまとめて提供していくことが求められるでしょう。パソナは人材サービス会社として、新しい働き方を推進するセミナー「シェアリングワークカレッジ」を開催しています。

 ――以前から「シェアリングエコノミーは、個人が主役」と強調されてきました。個人は育っていますか。

 シェリングエコノミーは本来、個人から発信されるべきトレンドです。一方、これまでは、マッチングを仲介するインターネットサイト会社などから発信されるケースがほとんどでした。主役である個人の育成・活躍が今後の課題といえます。

 ――なぜ育たなかったのでしょうか。

 サービスが先行して広まり、チャレンジしたい個人の発掘、安心安全に働けるような教育研修、業務支援といった本来先行すべき部分ができなかったのではと感じています。とくに、〝シェアリングワークへのチャレンジ意欲醸成〟は早急に取り組むべき課題です。

 地域住民やコミュニティとすでに信頼関係を構築している自治体や地域団体と連携した情報の発信が必要です。挑戦して「楽しかった、よかった」という個人の体験を語らうことも有効なので、好事例をたくさん作る必要がありますね。

 ――興味があれば挑戦し、楽しさを実感することも必要ですね。

 その通りです。地域のお祭りやイベントなど、ある一定時期に宿泊施設などが足りなくなると予想される際に行う「イベント民泊」は、利用者が来ることが見通せるので、挑戦のきっかけとして取り入れる自治体も出てきました。とくに地域住民に愛されているイベントは「楽しんでほしい」「自分もなにか貢献したい」という気持ちがあるため、シェアリングワークに携わるきっかけになりやすいです。

 ――民泊など、観光分野に関わることも多いです。今後「シェアリングワーク」は、観光をどう変えるのでしょうか。

 個人で観光サービスを提供する人、個人が提供する観光サービスを求める人、双方が増えていくでしょう。「人との交流やつながりを構築するのが旅の醍醐味」と考える人や、旅先でつながった人と新しい活動をする人が増えています。旅人と地域住民が交流する「人に会いに行く旅」を提供するのが観光事業になると考えています。今後は、これにあわせた観光業界なりのサービスをどう作るかが大事になります。 

 ――観光面では、「人が最大の観光資源」と話されています。これもシェアリングワークにつながっていますね。

 既存の観光資源は、人を加えることで輝きを増します。有名な文化財なども地元の人の説明が無ければよく分からず帰ってしまうことが多いですが、説明が加わると違って見えてきます。

 ――一方で、旅先で人と出会うのはむずかしいようにも感じます。

 観光案内所が、地域の魅力的な人を紹介することも必要だと思います。地域紹介ができるのは職員だけではないので、住民全員が観光協会の職員になるイメージです。魅力的な人がどんどん可視化され、旅行者は、彼らが提供するガイドやホームシェアを活用し、より深い情報が得られるという循環が生まれると面白いですね。

 ――ありがとうございました。

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