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仏の休暇制度参考に、観光庁が休暇シンポ開く

2010年3月11日
編集部

 観光庁は2月26日、東京国際フォーラムで休暇シンポジウム「新たな成長戦略としての休暇改革」を開き、休暇日分散化をいち早く取り入れたフランスの休暇制度などを参考に、日本型の休暇のあり方についてさまざまな角度から検証した。

 基調講演「休暇取得・分散化の意義」には、東京大学大学院経済学研究科教授の伊藤元重氏が登壇。伊藤氏は「経済活動の制約は、豊かになるほど予算よりも時間的制約が大きい。日本でも時間の価値が高まっている。余暇は成長戦略の面白い切り口」と語った。また、「働く」にという言葉は(1)レイバー(2)ワーク(3)プレイヤーの3つがあり、産業革命でレイバーからワークに変わり、今は人間にしかできないプレイヤーへと変わる過渡期にあり、「トータルな生き方を休暇と一緒に考えていくべき」と話した。

 続いて在日フランス大使館参事官のジュール・イルマン氏が「フランスの休暇制度」について説明。「フランスでは3つのゾーン別に時期をずらした学校休暇を実施しており、6150万人の休暇を分散することで渋滞や事故、旅行代も少なくて済む。観光産業にもよく、ウイン―ウインの休暇制度だと思う」と語った。また、「フランスは仕事と大切な私生活の時間をバランス良く生活しており、海外移住の専門誌の調査で、5年連続世界で1番住みやすい国となった」と話した。

 パネルディスカッションでは、伊藤氏がコーディネーターを務め、4氏がパネリストとして参加した。

 杉並区教育委員会教育長の井出隆安氏は「今は学校の教室にもエアコンが入っており、夏休みの6週間連続休暇を分散させることも可能。沖縄から北海道まで季節も違うため、夏休み前線のように少しずつずらしていくことも有効」と述べた。

 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏は「日本で育児休暇が取れないのは職場のムードが大きい。男性の育児休暇は“義務化”が必要」と提案した。そして、「日本人はそろそろ極端な“勤勉の美徳”をやめよう」とし、「人生を楽しむことが第一で、ワーク・ライフ・バランスではなく、ライフ・ワーク・バランスと呼ぶべき」と強調した。

 労働政策研究・研修機構主任研究員の小倉一哉氏は、「男の働き過ぎが社会を悪くしている。職場では“お互い様”の意識を持つべき。『休暇は労働者の義務』というフランスの考え方を日本的にアレンジすることも必要」と語った。

 東京大学大学院医学系研究科准教授の島津明人氏は「今後、企業にとって従業員のモチベーションの向上が重要課題となる。こまめに休暇でエネルギーをチャージできるシステムがあればいいと思う」と、それぞれの立場から意見を交わした。

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