平城遷都1300年祭、平城宮跡会場がオープン、大極殿や遣唐使船など復元
「奈良の都にタイムスリップ」
「はじまりの奈良、めぐる感動」をテーマに奈良県で今年1月から1年を通して開催中の平城遷都1300年祭のメーン会場となる「平城宮跡会場」(奈良市佐紀町)が4月24日にオープンした。東京ドーム27個分という130ヘクタールの広さの平城宮跡には、正門の「朱雀門(すざくもん)」とその北方にそびえ建つ「第一次大極殿(だいいちじだいごくでん)」、原寸大の遣唐使船など復元され、日本が中国・唐の文化・制度などを移入しながら国家を形成した奈良時代の都の世界を再現する。
710年に藤原京から都を移した平城京は、唐の長安を模した碁盤目状に広がる巨大都市だった。当時の日本の人口が500―600万人といわれるなか、平城京には約10万人の人々が住み、約70余年間日本の首都として栄えた。
平城宮はその都の中心として天皇の住居があり、政治・国家的行事を行ったところ。広大な野原が広がる平城宮跡は、今でも1300年前の奈良の都にタイムスリップしたかのような錯覚を感じさせる。
平城宮のなかでもっとも重要な建物は第一次大極殿で、天皇が即位の儀式や元日朝賀などの国家的行事を行った。古代の伝統技術で復元された建物は高さ約27メートル、幅44メートル、奥行き20メートルの2層式で、朱色の柱と黒い屋根瓦に覆われた豪壮な建築。国の威信と誇りを内外に示すような都人の気概を感じさせる。
内部は法隆寺にならった格子模様の組入天井。格間には蓮華が彩色され、四周を巡る小壁には四神画と十二支が描かれている。中央には8角形の天皇の玉座をイメージした「高御座(たかみくら)」の実物大模型が置かれている。
大極殿からは平城宮の全容が見渡せる。東には皇太子の宮殿があった東院庭園が復元され、約800メートル先の南正面には朱雀門が小さく見える。高さ25メートル、幅10メートルの朱雀門の前では、かつて外国の使節の送迎が行われたという。
門の近くには遣唐使船を復元展示した平城京歴史館(有料)もあり、東アジアとの交流の歴史を大型スクリーンで紹介。当時の都のようすをリアルに再現している。
平城京の遺構をそのまま見られる遺構展示館の近くには、遺構の擬似発掘や天平の衣装体験、当時の役人の仕事など学習するイベント施設「平城京なりきり体験館」(有料)も設置され、古代の暮らしを楽しく学習できる。
専門ガイドによる平城京探訪ツアー(有料)も、夏季を除いて毎日実施されており、修旅や団体などには便利。1・5時間、2・5時間の2コースがあり予約が必要。
期間中は古代衣装をまとった「衛士隊の再現」や、天平文化の華やかさを演じる「あおによしパレード」、まほろばステージでの文化芸能などさまざまなイベントが繰り広げられる。31の飲食、物販施設も整う。
アクセスは、近鉄大和西大寺駅から会場まで徒歩10分。シャトルバスも同駅と、JR奈良駅から無料で運行している。