天草地方の潜伏キリシタン関連遺産、世界遺産登録へ大きく前進
2018年5月10日(木) 配信
ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関イコモス(IUCN)は5月4日(金)、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県・熊本県)を世界遺産一覧表に「記載」するのが適当と勧告した。6月24日~7月4日にバーレーンで開かれる第42回世界遺産委員会で、記載の可否が決定される。
同資産は、10集落、1城跡、1聖堂の12資産で構成。日本のキリスト教伝来期から、禁教による迫害の時代を経て、禁教が公的に解かれカトリックの信仰が復活した最後の段階までを伝える。イコモスは、「禁教期にもかかわらず密かに信仰を継続した長崎と天草地方における潜伏キリシタンの独特の文化的伝統の証拠である」と普遍的価値を評価した。
長崎県の中村法道知事は5月4日、「(「記載)という)評価を得られたことを大変うれしく思う。引き続き、国や熊本県をはじめ関係県市町などと連携をはかりながら、(登録に向け)全力で取り組む」とのコメントを発表した。
□資産の「分断」理由に「登録延期」勧告
同じく世界遺産登録を目指していた「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島県・沖縄県)には、残念な結果が通知された。自然遺産の評価を行う国際自然保護連合(IUCN)は5月4日、世界遺産リストへの「記載延期」評価を下した。推薦地に価値証明に不必要な小規模の「分断」が発生し、生態学的な持続可能性に重大な懸念があることが大きな理由。環境省は推薦地から、人の手が加わっている地域と、沖縄県の北部訓練場返還地を選定地域から除外していた。
一方、IUCNは「国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性保全上重要な地域である」とする生物多様性などの価値は認定している。同省は今回の通知を「世界遺産登録に半歩前進した」と受け止め、評価結果の精査や、鹿児島、沖縄両県との協議のうえで今後の予定を決定する。