木造旅館の魅力を海外に、インバウンドにっぽん 英語版サイト開設
インバウンドにっぽん(小野秀一郎代表)はこのほど、私設団体「Real Mokuzo Ryokan リアル・モクゾー・リョカン 木造の魅力を海外へ伝承する有志の宿」を設立した。英語版のサイト「The Nostalgic Authenticity of Mokuzo Ryokan」(http://ryokan-hotel-onsen.com )で、参画する木造旅館の魅力を、海外の個人旅行者に向けて情報発信していく考えだ。
主宰する小野氏は主に欧米など英語圏からのネットFITの誘客事業に取り組んできた。「10年間で得たノウハウやネットワークを生かして、外国人旅行者が本格的な“リアルジャパン”を体験できる日本の木造旅館の魅力を積極的に紹介していきたい」と話す。
同サイトは、料金やプランが優先的な宿泊予約サイトとは異なり、世界に向けて、日本の伝統的な木造旅館の魅力を伝承していくことを最大の目的としている。このため、宿の外観や浴場、館内の客室や料理の写真を多用して紹介する。自館の英語サイトのホームページや予約サイトにも容易に誘導できるのが特徴で、より詳しい情報や宿泊予約の際には、リンクしている各館の英語サイトに誘導する。世界各国の旅行者によるクチコミ情報なども掲載している。掲載料は標準プランで月間3千円程度に設定している。
また、参画旅館には、ホームページの制作・運営(英語版・中国語版)や、旅館を好むユーザー層の多い海外予約サイトの紹介および登録申請代行業務なども支援する(費用別途)。
「海外のFIT旅行者にとっては、日本国内においてその木造旅館が有名か無名かなどは関係ない。これからは個々人にとっての質や満足度が追求される時代。幅広いニーズに対応するためには、価格帯のバリエーションが広い方が望ましい」として、廉価な素泊まりの宿から、登録有形文化財の宿まで幅広くそろえていく予定だ。
「Real Mokuzo Ryokan リアル・モクゾー・リョカン 木造の魅力を海外へ伝承する有志の宿」の加入条件には、(1)旅館建造物の木造部分が100%、あるいはそれに近い割合であること(2)外国人客に宿泊体験を満喫してもらうよう尽力すること(3)自館の建物を日本文化の財産と認識し、守り続けること(4)料理内容は和食が中心であること――を挙げている。
小野氏は「ページビューの数で競うというよりも、日本の木造旅館に興味のある人だけが集まればいい。アクセス数は着実に増やして行きたいと思うが、興味のある人にしっかりと情報を提供していきたい。今年度中に50軒程度を参画募集し、3―4年後には200―300軒を紹介できるサイトに育てていきたい」と語る。
「日本人以上に日本の木造旅館に価値を見出す世界中の旅行者と、外国人旅行者の誘客ノウハウを持たない木造旅館との仲介役になりたい」。
今後は英語版に加え、日本語版、中国語版も視野に入れている。さらに「木造旅館」とは別の切り口から、「秘湯の宿」や「一軒宿」というカテゴリーのサイトの立ち上げも予定している。