違法民泊の会議開く 取り締まり強化へ全国に通知
2018年5月22日(火) 配信
観光庁、厚生労働省らは5月21日、違法民泊の対策会議を開いた。住宅宿泊事業法(民泊新法)と、罰金強化などを盛り込んだ改正旅館業法は6月15日に施行される。関係省庁との情報共有や、自治体など現場レベルでの協力体制を密にする。同日に厚労省が違法民泊の取り締まりに関する通知を出した。警察庁にも共有し、改めて違法民泊排除に向けた連携を強化する。
「今回の通知は無許可営業者に対するメッセージにもなる」(観光庁観光産業課)。厚労省が16年に行った調査では違法民泊の疑いがあるとして、保健所が指導した件数が1万件を超えた。
通知は全国150の自治体や保健所などに発出した。悪質な無許可営業者には、進んで警察に情報を提供し、警察の取り締まりを求めるなど、現場で積極的に動くよう示した。
民泊は旅先でより深い現地体験を味わえるなど人気を集めている。ただ、犯罪行為や火災事故、脱税などにつながる可能性もある。
同会議では警察庁や消防庁、国税庁など幅広い関係省庁を集め、違法民泊に対する姿勢や迅速な情報共有の必要性を確認し合った。
民泊施行まで1カ月を切り業界は慌ただしい。
エアビーアンドビーや楽天ライフルステイ、日本途家ら大手民泊仲介業者は23日、業界団体設立に向けた準備会合を開く。仲介業者側から観光庁に声をかけた。「違法民泊の排除、健全な市場形成にも有効」と観光庁も協力要請に応えた。
民泊サービスのインフラ整備にも躍起だ。エアビーは21日に鍵の受け渡しサービスなどでファミリーマートと業務提携を結んだ。すでにJTBとセブンイレブン、ローソンとキーカフェが、それぞれ同様のサービスで手を組んでいる。
一方で市場が追い付いてこない。5月11日時点で全国の民泊届け出は724件に留まる。民泊新法の180日規制がない、簡易宿所や特区民泊に流れる動きが一部で進む。「大阪は特区民泊の客室数が昨年100室未満だったが、現在は2千室に近い状況」(観光庁)だという。
ホストは煩雑な書類手続きや自治体の上乗せ規制などで事業を続けるか二の足を踏んでいる。民泊新法の目的は、旅行者の宿泊需要に的確に対応して来訪や滞在を促すこととされている。民泊開始を前に、サービス環境は整いつつあるが、肝心な民泊物件の不足が課題となってきそうだ。