分散型ホテル、10月京都にオープン(アンゴホテルズ)
2018年5月23日(水) 配信
ホテル運営会社のアンゴホテルズ(十枝裕美子社長、京都府京都市)は10月15日(月)、京都にディスパーストホテル(分散型ホテル)の「ENSO ANGO(エンソウアンゴ)」をオープンする。5棟の点在した宿を1つのホテルとして運営する。5棟にはそれぞれの機能を持たせ、宿泊客が回遊することで地域に溶け込み、地域と一体感のある新しい旅のスタイルを提案したい考え。日本国内の都市部では今までにないタイプの宿という。なお、ホテルのオーナーはグローバル・エルシード(永嶋康雄社長、東京都新宿区)。
同社は昨年設立した会社で、名前は禅の「安居」(あんご)=「心やすらかに生活する」からつけられた。同社のホテルで過ごす時間や体験が「安居」となるよう願いを込めたという。新しいホテルは同社の第1号ホテルで、「ENSO」は社名と同様に禅の言葉「円相」から名付けられている。円相とは真理と向き合うための象徴で、無限の宇宙を示すもの。完成形のない生きたホテルとして、人と人や出来事との出会いが無限の可能性を秘めていることなどをイメージした。
5月22日(火)に東京都内で開いた会見で、十枝社長は新ホテルの考え方として「ないものは補完し合う」「体験はコミュニケーションに始まる」の2点を挙げた。1つの完全なホテルをつくるのではなく、バーやレストランなど徒歩圏内にある5つの棟にそれぞれの機能を持たせることで、街中の回遊を促す。そうすることで施設内だけではなく地域と一体化した顧客体験を提供できると考える。「地域とゲストをつなぐ役割をしたい。京都にはさまざまな国の人が訪れるが、共通する価値観もある。それをENSOがつなぎ、皆が友人を訪ねたようにくつろげる空間を提供したい」と意気込んだ。
ENSO ANGOのディレクションは内田デザイン研究所が担う。また、各棟の手水や家具、内装などはそれぞれ異なるクリエーターのアートやデザインが施されるのも特徴の1つ。会見には参画するアーティストらも登壇し、それぞれの想いを語った。
5棟の設計・デザインやキャパシティ、部屋タイプはそれぞれ異なるが、料金の平均価格は2~3万円を想定する。総客室数は229室で、各部屋2~3人利用となる。いずれの宿泊者でもチェックインできる「どこでもチェクイン」などを導入する予定だ。
同社では今度も同様のホテル展開を拡大していく考え。地域活性化に長年取り組んできた十枝社長は「地域の1つの問題として、遊休地が点在していることがある。地上げをしながら大きな建物を建てることは、文化や街自身を壊しながら新しいものをつくることになりがち。地域のカタチに沿いながら新しいものを生んでいく手法として、ディスパーストホテルは今後も大切にしていきたい考え方だ」と語った。