〈観光最前線〉バスガイドさんにお返し中
2018年6月1日(金) 配信
社会人になって最初に就職したのが旅行会社。旅程管理の資格もとり、同年の夏、華やかに添乗デビュー。そう言いたいが結果は散々だった。
まだ携帯もネットも身近にない時代、行程上で通行止めが発生していると分かったのはバスが出発してから。休憩のたび、公衆電話に掛け込み、コースや食事場所を変更。なんとか宿泊地の岐阜県高山にたどり着いた。「こんな経験はもうこりごり」。そう思っていたとき、バスガイドさんが「一緒に食べよ」と、高山名物・二四三屋(ふじみや)の団子を渡してくれた。
こんなに優しい言葉があるのかと思ったのを、昨日のことのように覚えている。
巡って今は、バスガイドさんにインタビューすることも。人は違えど「少しはお返しできているかな」。時々自問しています。
【鈴木 克範】