休暇改革、3月までに修正案、メリット活かしデメリット最小化
観光庁の溝畑宏長官は昨年12月22日行われた定例会見で、休暇改革について全国を5ブロック以内に分け、まずは先行して秋のみ大型連休を導入する方向で修正案を作る考えを示した。3月の第3回休暇改革国民会議で提案する。
これまで春と秋に大型連休を作り全国をブロックに分けて休暇を分散化させるたたき台をもとに議論が進められてきたが、12月16日に行われた第2回休暇改革国民会議で出された方向性を踏まえ修正案を作る。具体的には海の日、敬老の日、体育の日の秋の3つのハッピーマンデーを廃止し、秋の新たな大型連休に振り替える。春の大型連休については、「導入を断念したわけではない」とし、今後も地域を限定した実証実験を続ける。休暇改革の具体的な法案提出の時期については政務三役、民主党の判断にゆだねられる。
12月の休暇改革国民会議において、銀行や中小企業などの団体代表者から強い反対意見が出たことについては、「改革はすべてをプラスにすることは難しい。メリットを活かしながらデメリットをいかに最小化するか。全体として経済や、国民の精神的な豊かさにプラスになるなか、デメリットについてはていねいに説明を続ける」と述べた。
11月の訪日外客数は、前年同月比12・4%増の63万5千人、1月からの累計は同29・2%増の過去最高796万3千人となった。中国は尖閣諸島問題の影響で同15・9%減の6万9千人となったが、11月末から本格的なプロモーションを再開。「2月の中国における旧正月の数字はいい。V字回復に向けて取り組んでいる」。
一方で、観光立国推進基本計画のなかで掲げる10年までに訪日外国人数1千万人の目標は達成できないことが確実となった。「達成できなかったことは大変残念。課題、問題のきちんとした分析を行い、来年に向けて努力していきたい」と語り、具体的な方策として通訳案内士制度の見直しによる人材確保、観光のICT(インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー)化、訪日外国人向けの鉄道割引フリー切符の実証実験、旅行ムーブメントの創出をあげた。
観光のICT化は、国際空港や観光案内所、ホテル、コンビニなど外国人旅行者が集まる施設に無線LANを整備し、無料で利用できる環境を整備する。「外国人旅行者が日本を訪れて一番困難を感じているところ。来年中に最低100カ所は設置したい」と話した。
旅行ムーブメントの創出については「国民一人ひとりの旅行へ対する意識がしぼんでいくと、観光立国は厳しい。国民をあげて旅行に行くムーブメントを起こしていきたい。来年はこのあたりも力を入れていきたい」と語った。11年は、日本スキー発祥100周年を契機としたスノーレジャーの活性化、国際森林年を契機としたグリーンツーリズムの活性化など、テーマ別に関係団体と一体となり、国内外におけるプロモーションや招請事業などを行う。