2割減も100億円確保、MICE予算は見送り
昨年12月24日に2011年度政府予算案が閣議決定され、11年度の観光庁関係予算は10年度予算(126億5200万円)比20%減の101億5000万円となった。8月27日にまとめた概算要求では、10年度予算の3%増となる130億8200万円を要求したが、他省庁同様に、行政刷新会議の「事業仕分け」の結果を受けた厳しい予算となった。
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事業別にみると、「訪日外国人3000万人プログラム第1期」事業は、前年度比23%減の86億3400万円。なかでも、13年までに1500万人の目標達成を目指す訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は、昨秋の事業仕分けの結果を受け、前年度より約3分の1縮減された60億5500万円となった。そのうち「元気な日本復活特別枠」として計上された1億8500万円は、ビジット・ジャパン事業における最重要地域である中国へ向けたプロモーションに充てられる。
同じく事業仕分けで予算見送りとされたMICEの開催・誘致の推進事業は、事業仕分けの結果通りで予算認められず。シンガポールや韓国など、国をあげての誘致合戦熱が高まっているなかで厳しい結果となった。ただし、「MICEの活動自体の停止」ではなく、あくまでビジット・ジャパン事業の予算内で行われることになる。そのほか、事業仕分けで廃止と判定された「着地型旅行商品流通促進支援事業」「ユニバーサルツーリズムネットワーク構築支援事業」「スポーツ観光支援事業」の3つは判定結果の最優先を受け見送られた。
言語バリアの解消など訪日外国人旅行者の受入環境整備事業は、8月の概算要求で2億5100万円を要求していたのに対し前年度の約3・5倍におよぶ6億800万円となった。
また、「観光を核とした地域の再生・活性化」事業は同18%減の4億7200万円。事業仕分けで半減とされた観光地域づくりプラットフォーム支援事業は、仕分け結果通りの前年比半分の2億7100万円となった。
そのほか、MICE関連の人材育成も含む、観光立国推進へ必要となる「観光人材の育成」事業には前年度比約4・5倍の2億2100万円。休暇取得分散化導入など「ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備」は前年度約3倍となる8200万円。観光が及ぼす効果や影響を明らかにする「観光統計の整備」に同44%増となる4億7500万円となった。