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国内宿泊数横ばい、訪日客数990万人

2011年1月11日
編集部
黒須宏志氏
黒須宏志氏

「団塊のリタイア効果は“五分咲き”」

  昨年12月22日に開かれた「第20回旅行動向シンポジウム」で、日本交通公社主任研究員の黒須宏志氏が旅行マーケットの最新動向と11年の展望について講演。国内の宿泊旅行数は横ばいかプラス1%程度の微増、団塊世代のリタイア効果は5分咲き程度と話した。

 団塊世代(60―65歳)男性の勤労状況をみると、完全リタイアした人は64―65歳で48%、63歳で32%、62歳で32%、61歳で31%、60歳で23%となった。逆に未だに週5日以上勤務している人も、64―65歳で22%、63歳で34%、62歳で29%、61歳で31%、60歳で42%と、完全リタイアの割合と同じくらいにのぼることが分かった。黒須氏は「団塊世代のリタイア効果はせいぜいまだ5分咲き」と話した。60代以上の海外旅行者数の動向をみるとリーマンショック後の急激な落ち込みから回復し、右肩上がりで伸びているが、今後もこの傾向は続くとの予想。「団塊世代のリタイアが進む数年後に大きな変化が起きる」と述べた。

 国内旅行市場では、交通機関別の利用動向をみると、高速道路が唯一堅調な伸びをし、09年は高速道路1千円の効果、10年はビジネス需要が増えたことを挙げた。しかし、高速道路の割引や無料化の効果はほぼ定着し、宿泊旅行数は横ばいかプラス1%程度の微増になることを予想。そのほか、レジャー性の旅行意欲が若干弱いマイナス点や、ビジネス性の需要の堅調な伸び、団塊世代の潜在需要が徐々に出てくること、シニア層では旅行日数が漸増する可能性があることなど明るい話題についても触れた。

 海外旅行市場では、10年の旅行者数は前年比7・5%増の1660万人、座席供給量は0・1%増と推計。11年の予想では、同4・2%増の1730万人、座席供給量は3・2%増と強気の予想を述べた。理由としては、レジャー、業務性ともに伸びしろがあり、若年層のマイナスがストップしていることや、羽田国際化の純増分が貢献し、地方マーケットの押し上げも期待できることなどをあげた。ただ、需要の伸びに対し供給量の伸びが抑制的であることをマイナス要因としてあげ、LCCの参入効果については「実際に始まってみないと何とも言えない」と話した。

 インバウンドでは、10年の訪日外客数は前年比26・7%増の860万人と予想し、11年は同15・1%増の990万人と、限りなく1千万人に近づくと予想した。各マーケットの訪日客合計の増減に対する寄与度をみると、10年は韓国の9・3%、中国の6・6%、台湾の3・8%が突出。11年は中国が8・8%となり、インバウンドを引っ張っていくと予想した。

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