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フロント設置基準が緩和 無人化で競争力アップを (改正旅館業法)

2018年6月6日
編集部:謝 谷楓

2018年6月6日(水) 配信

6月15日(金)に、改正旅館業法が施行される。玄関帳場、いわゆるフロント設置の緩和が織り込まれた。

6月15日(金)に、改正旅館業法が施行される。玄関帳場、いわゆるフロント設置の緩和が織り込まれた。同日には民泊も解禁となることから、一部施設にとっては経費削減を期待できる。フロント業務をICT(情報通信技術)で支援するサービスも出ており、競争力を高める良い機会となるかもしれない。

 4月以降、大手コンビニ2社が民泊物件の鍵受け渡しサービスをスタートさせると発表。都心部に位置する民泊物件のフロント業務を請け負うことを目的とし、ターゲット層の重なる近隣宿泊施設にとっては大きな脅威となる。サービスの質を保ちつつ、フロント業務に掛かる人件費をどう削減するかが競争力を高めるポイントとなりそうだ。

 住宅宿泊事業法(民泊法)が適用される物件は原則、フロントの設置を必要としない(宿泊者の本人確認は必要)。一方、改正旅館業法のルールに従うホテル・旅館は、玄関帳場又はフロントを設置しなくてはならず、緊急時対応とビデオカメラによる本人確認、鍵の受け渡しという3つの仕組みを整えることができれば、その設置を省略できることとなっている。

 ウェブブラウザ上でビデオチャットサービスを提供するスピンシェル(金田宏社長、東京都港区)は6月5日(火)、多言語に対応するフロント業務代行サービス(LiveFrontDesk)をワンストップで始めると発表した。フロント業務を遠隔で提供し、4カ国語(英語、中国語、韓国語、日本語)に対応するコンシェルジュスタッフも配置する。利用施設は、自社の状況に合わせて、時間帯や言語コンシェルジュを自由にカスタマイズできる。深夜や外国人スタッフ不在時のみに利用したいという個々のニーズに応えることが可能だ。いずれのパソコン・タブレット端末でも利用でき、新たに端末機器を導入する必要はない。

 コンシェルジュスタッフは、近隣スポットの観光案内にも対応する。チェックイン・アウト業務以外の多言語対応で課題を抱える施設にとっても有効活用できる。鍵の受け渡し体制がすでに確立しているのであれば、多くの宿泊施設での導入が期待できそうだ。

 ルームキーの発行・受け渡しまで無人で済ませるサービス(オートフロントシステム)も提供されている。PlanD(プランディ、小幡晶代代表)によるもので、現地でのチェックイン作業すべてを機械端末で済ませることができる。英語と中国語、韓国語に対応するため、インバウンドの受け入れにも活用可能。両替やデジタル署名機能も有する。

 人件費はホスピタリティに直結する部分であるだけに、安易に省くことは慎みたい。一方、ICT(情報通信技術)の発達によって、遠隔サービスの質は向上しており、ユーザーにとってもなじみ深いものとなっている。上手に取り入れることで、競合施設や民泊との差別化を実現したい。

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