No.270 地域巡回温泉リハビリバス - 高齢者・要介護の外出を支援
地域巡回温泉リハビリバス
高齢者・要介護の外出を支援
内閣府認証NPO法人「日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会」(篠塚恭一理事長)は、家に閉じこもったままの高齢者や、要支援・要介護者の外出を支援する「地域巡回温泉リハビリ外出支援バス事業」を実施している。1月30日には、同事業の中間報告会を開き、高齢者の外出意識に関するアンケート調査の結果や、事業内容などを紹介した。報告会では、先進事例として静岡県東伊豆町の福祉と観光の融合を目指すユニバーサルツアーへの取り組みも報告された。
【増田 剛】
「外出支援の社会化へ、シームレスな連携を」
高齢になり、行動が不自由になってくると、人はどうしても家に閉じこもりがちになる。しかし、心身の健康のためには、地域の知人や物産に触れる日常的な外出や、たまには遠出をして、普段接することのない文化に触れる旅行も、介護予防や認知症予防につながると考えられている。一方で、現行の介護保険制度には、外出支援サービスが含まれていないこともあり、日本の要支援・要介護高齢者は、心身の健康を維持するために、十分な外出機会が得られていないのが現状だ。
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篠塚恭一理事長
地域巡回温泉リハビリ外出支援事業は、日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会が、福祉医療機構(WAM)の社会福祉振興助成事業として申請し採択された事業で、今年3月まで実施されている。理事長は1995年から高齢者や要介護者の外出支援や、介護旅行(ケアサービス付き旅行)に取り組んでいるSPIあ・える倶楽部代表取締役の篠塚恭一氏。
日本トラベルヘルパー協会の提供する介護旅行は、「トラベルヘルパー」という介護技術と旅行知識を持った専門スタッフが同行し、乗り物への乗降介助や食事、入浴介助など身の回りの世話や旅行先のガイドをする旅のスタイル。旅行だけでなく、お墓参りや同窓会出席など、さまざまな外出の支援を行う。活動の目的は、超高齢化社会を迎えた日本で、とくに行動に不自由のある人のQOL(人生の質の向上)にある。「どんな要介護状態の高齢者でも外出機会を確保して、いきいきと暮らせる社会を実現していきたい」が理念だ。
※ 詳細は本紙1410号または日経テレコン21でお読みいただけます。