予約まで38件のWebサイトを閲覧、旅行者の67%が「選択肢の多さに圧倒されて戸惑う」
2018年6月8日(金) 配信
エクスペディアグループは6月7日に、オンライン市場動向などに関する説明会を開き、最新の動向を報告した。昨今、急速にテクノロジーは発展し、オンライン検索は馴染みのものとなった。ただ指先1つで情報が手に入る一方、旅行者の67%が「選択肢の多さに圧倒されて戸惑う」と同社の調査に答えた。38件ものWebサイトを閲覧したあと、予約に至るという。氾濫する情報を前に、施設は旅行者の関心を引くためのひと工夫が求められそうだ。
テクノロジーの普及はめまぐるしい。一般家庭の普及率が25%に達するまで、電気は約46年掛かった。これに比べ、2007年以降のソーシャルメディアは5年で到達しているという。
旅行業界でも状況は同じだ。同社の17年の予約総額に占めるデジタル市場の割合は欧州で50%を超えた。旅行者の8割は、最終的にオンラインで予約しなくても、必ずオンラインで旅行情報を検索している。
訪日外国人旅行者をみると、約5割がOTA(オンライン旅行会社)など通じ施設を予約するといったデータも出ている。
さらにZ世代(1990年代後半以降)と呼ばれるデジタル世代は、オンライン上で情報を見て意味を理解し、次の行動に移るまでの所要時間が、たったの8秒だという。オンライン上にただ情報を載せるだけは、旅行者のアンテナに引っかかることが難しくなってきている。
「今後は施設や地域間での競争が激化していく。オンラインで、自社の付加価値やユニークな特徴、周辺の観光スポットなどをいかに訴えて、他と差別化していくのかが重要だ」。同日の会見で、エクスペディアホールディングス営業開発部の森美月本部長は同社の調査を元に報告した。
□ルース・マリー・ジャーマン氏がゲスト講演
同日には、ジャーマン・インターナショナルのジャーマン代表がゲスト講師として登壇した。
訪日外国人旅行者が昨年2869万人となり、好調さを維持している。同氏は「民泊が合法化されることで、民泊施設は大きく減るはず。ただ訪日外国人旅行者は増え続け、宿泊施設を求める人は増加の一途をたどる。今はまだ供給できているが、これからは宿泊施設の腕の見せ所。正念場に入ってきている」と述べた。
このほか訪日前の外国人1万3800人に対して行ったアンケート調査を報告した。これによると、昼食に「一人3千円以上消費できる」は2割ほどだったが、ディナーの場合は49%に上った。自分たちが求めるものにはしっかりと対価を払うことがうかがえる。
「日本はこれからデフレの感覚をなくさなくてはいけない。それぞれの施設と客室で、本来の適正価格を提供して、守っていくべき時代だ」と強調した。