観光復活に向け宣言、東北復興支援の集い
「関係者600人で決起集会、日観振協、6月総会は仙台で」
日本観光振興協会(西田厚聰会長)は4月21日、東京都千代田区の憲政記念館で観光関係の行政や団体、東北各県、企業関係者など約600人を集めて「東北復興支援の集い」を開いた。東日本大震災の影響で風評被害や自粛が続き、観光面で幅広い地域に大きな被害をもたらしていることから東北観光の支援を誓うとともに、全国的な観光活性化につなげるための決起集会として開き、集いの宣言も発表した。
西田会長は主催者あいさつで「観光業界としては1日も早い復興達成に向けて一丸となって全力で支援させていただきたい。東北の四季折々の美しい自然、歴史あるさまざまなすばらしい文化を再び多くの観光客に楽しんでいただくために全力を尽くす」と語った。全国レベルで旅行のキャンセルや予約の著しい減少、訪日旅行者の激減などで業界が深刻な打撃を受けていることにも触れ、「我が国が復興していくためにも、観光が果たすべき役割は極めて大きい。日本を必ず復活させるという揺るぎない信念のもと、本日の集いを東北支援、日本の観光の復活の新しいスタートにしたい」と述べた。
また、同協会が6月に予定している通常総会を急遽、宮城県仙台市で開くことを発表。「1人でも多くの会員に参加してもらうよう呼び掛けている」とした。
観光庁の溝畑宏長官は「今こそ観光の出番。これを機に官民あげて大型キャンペーンやイベントを積極的に打っていきたい」と語った。衆議院議員で全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長は「観光を中心に東北を立ち上げる」と力を込めた。さらに、「津波には法律で対応しなければならない」とし、津波の日も制定して国民全員が津波について考えることの必要性も訴えた。
出席した東北6県の知事や副知事、観光行政の幹部らは支援に対するお礼や現状、今後への決意などを語った。このなかで、青森県の三村申吾知事は「がんばろう日本、がんばろう東北、この強い想いのもとで、青森デスティネーションキャンペーンを予定通り4月23日から開始する。まだ新幹線はつながっていないが、東北のなかでできることから始めていこうという想いだ。大いに悩んだが、まず東北の端の青森から光を灯し、日本の未来の希望につなげていきたい」とDCへの熱い想いを語った。
さらに、東北地域「女将の会」から6人の女将が登壇。代表してあいさつに立ったホテル松島大観荘(宮城県松島町)の磯田悠子副社長は、自館のある松島の状況について、「松島の島々に守られ、津波の部類ではないような波でした」と報告。海岸通りは被害が大きかったが、「連休に向けて、がんばって何かをやろうという思いです。遊覧船も再開します。我われも正確な情報を発信するので、ぜひ皆さんにお越しいただき、元気を分けて下さい。我われの笑顔でお迎えします」と頭を下げ呼び掛けた。
最後に宣言を読み上げたあと、日本観光振興協会の舩山龍二副会長の音頭で参加者全員が拳をあげ、東北復興や日本復興に向けた決意を誓った。
東北復興支援の集いの宣言は次の通り。
(1)東北地域をはじめ被災された地域の1日も早い復興を願い、被害を受けたこれら地域の観光復活のため一丸となって支援をしていく(2)直接の被害がなかった地域においても大きな影響が出ていることについて、風評被害や自粛ムードを払拭し、全力をあげてこの困難を乗り越えていく(3)被災地の復興と我が国経済の立ち直りのために観光が果たすべき役割は大きく、全国の観光活性化のため、観光関連業界としてスクラムを組んで強力に取り組んでいく。