test

海外へ日本の安全PR、会員に支援制度情報を

2011年5月21日
編集部

 インバウンド旅行を専門に扱う旅行会社で組織されるNPO法人アジアインバウンド観光振興会(AISO、王一仁理事長、正会員32社、賛助会員70社)は4月21日、東京都内で第1回災害復興対策委員会を開き、東日本大震災・福島原発事故の影響で激減するインバウンド旅行の対応策を協議した。広報・事業サポートチームと復興商品企画・造成チームに分かれて行われた。

 広報・事業サポートチームは、支援制度情報を収集し、会員企業へ発信するほか、雇用・労務管理の助言を行う。訪日客に対する災害発生時の緊急連絡体制も構築する。

 震災後、会員のうち6社は事務所を東京から大阪や海外に移し、ほとんど連絡が取れず、3社は事業を停止。まったく連絡が取れてない。岡本立雄理事は「AISO会員は、社員数20人以内の規模で、オーナー経営者が経営しているところがほとんど。震災の影響で、雇用維持と会社維持はまさに死活問題。人員削減や給与カットを余儀なくされている。この状態が続けば、9月までもたない」と語った。震災後の被害状況については「とくに中国・台湾からの修学旅行、グループ旅行、青少年交流旅行などはゼロになった。震災前は毎日、グループ旅行を受け入れていた会社も現在、まったく機能していない」。

 5月9日には、東京商工会議所で旅行会社を中心とする中小企業を対象に、公的支援制度相談会が開かれた。関東経済産業局や東京都、東京信用保証協会、東京労働局などの担当者が融資、雇用などの公的支援制度について説明、個別相談を受け付けた。こうした支援制度情報も、会員に対して随時、発信していく。

 復興商品企画・造成チームは、被災地以外を優先させ、地域行政や宿泊施設などと連動したインバウンド誘致を行う。「ホテル・旅館、量販店、レストランなど賛助会員から早く震災後の商品を造成してくれという要望は多い」(岡本理事)。

 海外への売り込みについては、原発問題以外の地域は元気で安全であると国の予算を使って、海外にPRしてもらうことを外務省に提案。5月21、22日、東京で開かれる日中韓の首脳会談に合わせて、各国のメディア、現地の旅行会社の方にも来てもらい日本の安全をPRすることなどを提案している。

――――――――――――――――

岡本立雄理事
岡本立雄理事

「東京電力に抗議文、旅行団体として初」

 AISOは4月25日、東京電力に対し原発事故災害に対する抗議文を提出した。旅行業界団体として正式に行ったのは初。岡本立雄理事は「旅行業界で今回の震災の影響を1番受けているのはインバウンド関係者。福島原発事故の終息までにはもう少し時間がかかるが、今出さないわけにはいかない。まず意思表示を行う」と語った。

 抗議文は、原発事故の影響により、全面的にインバウンド旅行が取り消しとなり、企業として経営存続が困難であることを説明。東京電力に対して、海外に向けての正確な情報の開示、一刻も早い事故処理の完了、海外への「日本の安全宣言」の発信などを求めた。

 今後は東京電力が開設する被害者窓口に被害者申込書を提出、原子力損害賠償を請求する。「東京電力は事故終息に最善を尽くしてほしい。交渉時期については無理な要求はしない」(岡本理事)としている。

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。