「劇団四季」がトップ、業界別の2位にシティホテル
サービス産業生産性協議会が発表した、2010年度JCSI(日本版顧客満足度指数)によると、31業界350社のなかで、最も顧客満足度の高い企業は「劇団四季」だった。劇団四季は今回からの新規調査対象だったが、09年度1位の東京ディズニーリゾート(TDR)を超え首位に立った。業界では、同じく新規の自動車業界がトップ。09年度5位だったシティホテル業界は2位に順位を上げた。一方、09年度に2位だった旅行業界は4位と順位を下げる結果となった。
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JCSIは日本最大級の顧客満足度調査で「顧客満足」のほか、「顧客期待(利用前の期待・予想)」「知覚品質(利用した際の品質評価)」「知覚価値(価格への納得感)」「クチコミ(他者への推奨)」「ロイヤルティ(継続的な利用意向)」の6つの指数で、各業界・各企業のサービスを多面的に評価する診断システム。業界を超えた競争を促すことで日本企業の成長と国際競争力の強化に役立たせるのが狙い。10年度は4回に分けて調査を実施し、回答者数は計10万5697人。
10年度調査の顧客満足度上位企業50社をみると、1位劇団四季(顧客満足度指数は83・4)、2位TDR(82・0)とレジャーイベント業界が続き、5位にも同業界の宝塚(78・4)がランクイン。3、4位は通信販売業界のアマゾン・ドット・コム(79・7)、ファンケル(78・8)の順で、50社中に占める業界の割合は同業界が13社と最も多かった。シティホテル業界は50社中8社と、前年度6社から増加した。一方、飲食業界は前年度8社から10年度は2社と低下した。
旅行業界1位の楽天トラベルの満足度指数は75・4で全体での順位は27位。同じく業界2位の一休.comは指数75・2で28位、業界3位のじゃらんは74・0で39位だった。
各業界の顧客満足度1位の企業は百貨店が伊勢丹、家電量販店がヨドバシカメラ、シティホテルが帝国ホテル、ビジネスホテルがスーパーホテル、飲食がサイゼリヤ、国内交通(長距離)がスターフライヤー、近郊鉄道が阪急電鉄、病院が済生会病院、クレジットカードが楽天カード、自動車がトヨタなど。
「顧客満足」以外の指数6項目別の上位トップ3企業は、「顧客期待」がTDR(期待指数83・0)、劇団四季(82・4)、帝国ホテル(80・6)。シティホテル業界が上位10社中6社と、ブランド価値が認知されている。「知覚品質」はTDR(品質指数83・6)、劇団四季(82・7)、ファンケル(80・4)。「知覚価値」はスーパーホテル(価値指数78・5)、アマゾン・ドット・コム(78・1)、サイゼリヤ(76・9)。「クチコミ」はTDR(クチコミ指数71・6)、シンガポール航空(71・0)、ロイヤルパークホテル(70・8)。シティホテル業界が10社中6社と過半数を占めた。「ロイヤルティ」は楽天トラベル(ロイヤルティ指数69・4)、TDR(68・8)、全日本空輸(ANA、68・6)と10社中、旅行業が3社、通信販売・クレジットが2社入った。
指数6項目の中央値から算出する31業界中の上位5業界は、自動車(75・7)、シティホテル(73・8)、通信販売(73・2)、旅行(72・3)、介護サービス(70・9)。
JCSIは各企業が提供するサービスを、全業界共通の質問で利用者に評価してもらうため、横断的な比較、分析が可能な点や、なぜ満足・不満足になったのかの原因やそれによる結果も指数化し、因果関係を明らかにするのが特徴。また、これらのデータを提供できるため、業界や企業の具体的な経営改善への活用が期待できるという。