無秩序な地熱開発に反対、新会長に廣川氏
日本温泉協会(瀧多賀男会長、1505会員)は6月23日、山梨県甲府市の湯村温泉「常盤ホテル」で2011年度会員総会を開き、温泉資源保護の立場から、無秩序な地熱開発に対しては協会として反対していくことを確認した。任期満了に伴う役員改選では、新会長に廣川允彦氏(松川屋那須高原ホテル)が就任。また、4期8年会長を務めた瀧会長は名誉会長に退いた。
瀧会長は「原発事故以降、エネルギーとして温泉資源の価値が注目されている。しかしながら、地熱発電所の周辺では温泉源の影響の事例も報告されている。我われ協会も20数年前に欧州、とくにイタリアの地熱発電を視察するなど研究を続けるなか、短期には温泉源への影響がなくても長期的には影響があるとみるべき」とし、「温泉資源の保護の立場から既存の温泉地周辺の無秩序な開発には反対してきた。この問題は地域全体の総意が必要。協会としては全国から引き続き情報収集を行い、地熱対策特別委員会で検討をしていきたい」と語った。
新公益法人制度への移行については、協会の財政が逼迫しているなか、会員のメリット、自由な事業活動を展開し収益を上げていくためには規制の比較的緩やかな一般社団法人を選ぶべきとの観点から、13年4月1日を目途に一般社団法人に向けた移行手続きを進めていくとした。
次回総会は、長崎県雲仙市の雲仙温泉での開催を決めた。
総会後の基調講演には旅行作家の竹村節子氏(現代旅行研究所専務)が基調講演「日本を元気にするのは温泉から」を行った。竹村氏は「無秩序な地熱開発反対という立場は非常によく理解できる。しかし、東日本大震災発生後、国民はパブリックにものを見るようになってきた。ただ、反対のスローガンだけでは誤解を受ける。なぜ反対なのか、その理由を明確にアピールしていかないと、多くの国民から単なる利権を確保しているだけではないかと受け取られかねない」とアドバイスした。