民泊施行日、届け出3728件 田村明比古観光庁長官「環境の醸成が必要」
2018年6月29日(金) 配信
住宅宿泊事業法(民泊法)が6月15日に施行された。観光庁は6月20日の会見で、施行日時点の民泊届け出数が3728件だったと発表した。1カ月前と比べ約3千件、1週間前からは約1千件も増え、ホストらは急ぎ足で届け出た格好だ。ただ、旺盛な訪日外国人旅行者に十分に対応できる数とは言い難い。田村明比古長官は増加の阻害要因とされる上乗せ規制などに対し「環境の醸成が必要」と語った。
「きちんとしたルールができる前に一気に増えてしまった。住民は民泊全体にグレーなイメージを持っているが、海外からは需要が大きく増えている。これらのギャップが元で、地域によって条例の制定や手続きの上乗せが起きている」と民泊の現状を振り返った。
今後の方針については優良な民泊サービスの事例を増やしていく考え。田村長官は「一般の人々の理解を深めていくことが、過度な規制の緩和のために必要になってくる。行政も住民の懸念や不安が強いなかで慎重に対応している。今後は環境を醸成し、合理的な規制を促す努力が重要だ」と強調した。
一方で、簡易宿所と特区民泊の件数も増加している。
簡宿をみると京都府京都市で2015年度末は696施設、16年度末は1493施設、18年4月は2366施設と急増した。大阪市は特区民泊が別途あるものの、簡易宿所は16年度末が292施設、18年5月末は494施設だった。田村長官は「365日営業できるのは簡易宿所のひとつの利点である」と増加の要因を推測する。
特区民泊をみると大田区が16年度末で33施設117居室、今年5月9日時点では52施設316居室となった。大阪市は16年度末が48施設95居室、今年4月30日時点が651施設1899居室と大きく伸びた。
同法の180日規制のほかに、自治体の上乗せ規制を避け、簡宿や特区民泊に流れる動きも強いことがうかがえる。
なお、6月15日時点で管理業者は871件で仲介業者は46件の申請があった。