No.285 3・11後のインバウンド激減 - 風評被害ですませるな
3・11後のインバウンド激減
風評被害ですませるな
3月11日発生した東日本大震災以降、旅行業界のなかで最も被害を受けたのがインバウンド(訪日旅行)関係者だといわれる。福島第一原子力発電所の事故、それに伴う放射能漏れの影響で、外国人旅行者は限りなくゼロに近く激減した。震災から4カ月以上経つ今も原発事故は収束しておらず、回復の見通しは立っていない。訪日外国人を対象とする旅行会社、サイト運営会社、旅館の経営者に震災後の状況を聞いた。
【聞き手=沖永 篤郎】
「やってはいけない過ち」
AISO 理事 ― 岡本 立雄氏
アジアインバウンド観光振興会(AISO、王一仁理事長、正会員37社)は、インバウンドを扱う旅行会社が集まり2006年に設立された団体です。現在、会員会社で圧倒的に多いのは中国の訪日旅行を扱う会社。次いで香港、台湾、韓国などを扱う会社の順です。昨年実績で、AISO会員の旅行会社で扱う訪日旅行者数は350万人以上。中国に限定すると半数以上のシェアを扱っています。
7月現在も中国からの旅行者は震災前の水準の5%ほどしか回復していません。それもメディア、旅行会社を対象としたファムトリップ(現地視察旅行)や、通常の半額以下の格安旅行です。…
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「正確な情報がユーザーの信頼に」
ジャパンガイド 社長 ― シャウエッカー ステファン氏
英語による日本紹介サイト「ジャパンガイド」( http://www.Japan-guide.com/ )を運営しています。メインユーザーは欧米の20―30代の若い世代で、月間の訪問者数は100万人、ページビューは400万を超えます。旅行のほか、生活、仕事などのコンテンツを設置。旅行レポートは4人のスタッフで全国をカバーしています。
震災発生直後からジャパンガイドのアクセス数は普段の2―3倍、1日のサイト訪問者は5万人ほどに急増。この状況が2週間ほど続きました。…
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「遠慮せずに声をあげよう」
行燈旅館 女将 ― 石井 敏子さん
震災発生前までは桜の一番いい時期を控え、予約表は1カ月先まで埋まっていましたが、震災が起こり3、4日で真っ白になりました。震災以降の宿泊実績は対前年比9割減です。
震災発生当初は地震だけの影響で3カ月くらいはしょうがないと考えていました。しかし、今回の最大の原因は原発事故です。原発と放射能の報道を見て1年くらいはダメかなと考えています。…
※ 詳細は本紙1427号または日経テレコン21でお読みいただけます。