社員ガイドを他社派遣、震災影響を新事業で打開
札幌観光バスは7月から、同業他社に向けた同社正社員バスガイドの派遣事業を始めた。東日本大震災後、受注が減ったが、人員削減は行わず、新事業でバス会社としての品質向上に取り組む。 同社はバスガイドのホスピタリティを重視するなか、例年10―15人のバスガイドを正社員として採用し、自社で養成してきた。「選ばれる会社という社方針に沿い、品質向上に力を入れている」(波佐敏成営業部長)。
だが業界全体をみると、費用対効果の側面から、北海道内でも同様の取り組みを行っている企業は3、4社程度という厳しさだ。東日本大震災がさらに拍車をかけた。事業継続のため経費削減が求められたが、これまで積み重ねてきた「雇用や品質、ガイドのモチベーションを維持したい」(波佐部長)。その打開策として「正社員バスガイドの派遣」に乗り出した。慢性的なガイド不足に悩む同業他社への派遣や、若い力による業界活性化、業界全体で顧客ニーズを汲み取ることで、観光バス業界を活気づけ貢献していく。
労働者派遣事業には、派遣元に常時雇用されない労働者を他社に派遣する「一般労働者派遣事業」と、常時雇用される労働者だけを派遣する「特定労働者派遣事業」の2種類ある。今回、同社が始めたのは後者だ。今後、道外のバス会社や異業種への派遣も目指す。