福島で復興支援会議、東北のセールスマンに
株式会社全旅は7月26日、福島県福島市内の土湯温泉・山水荘で観光による今後の復興支援策を協議するため福島県復興支援会議を開いた。全国の営業所長のほか被災地側の市町村、観光協会、旅館代表者などが出席した。全国旅行業協会福島県支部110社の報告によると震災以降、18億円の損害が出ており、7月現在も対前年比9割減の落ち込みが続く状況。また、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会福島県支部の調査(3―6月)では約68万人がキャンセル。74億円の市場が喪失したという。
池田孝昭社長は「震災から4カ月が経つが未だに明るさを取り戻せていない。岩手、宮城、福島の皆さんのために我われがどう支援できるのか。全国の営業所長さんの知恵を借りたい」とし、「地域の皆様から情報発信していかなければお手伝いもできない。12年前から進めている着地型旅行の理念が震災のときにも大きく役立つ」と語った。
全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長は「こういう時こそ力を合わせての精神が必要。旅行業という持ち場を活用して1人でも多く送客することが我われの天命、天職。ひるむことなく、油断することなく一人ひとりが東北のセールスマンになろう」と語った。
福島県の内堀雅雄副知事は「震災・原発の影響で福島県の観光は深刻な状況にある。しかし実際に原子力災害のために立ち入りができないのは県全体の5%の地域にすぎない。風評被害を払しょくするためさまざまな取り組みを始めている。この機会に安心・安全であることを確認いただきたい」と佐藤雄平知事のあいさつを代読した。
福島県観光物産交流会観光部の黒澤文雄統轄部長は「情報の正確な発信が第一。毎日戦っている姿を見せていこうと取り組んでいる」と話した。4月に立ち上げた福島県応援情報サイト「応援ありがとう、がんばる福島」は、毎日情報を更新。1日の平均アクセスは2600件以上あるという。今後の観光振興については、「福島を応援したいという企業や自治体との連携を強化している。観光性の旅行はほとんど消え1、2年は難しい。危機管理を学ぶ現地視察ツアーなど特定のマーケットへの訴求が大事」と語った。