VJ事業、CP展開、総予算は20億円強に
観光庁はこのほど、10月からビジットジャパン(VJ)事業のキャンペーンを本格的に再開することを発表した。総予算は20億円強と、大型予算を組んでいる。 観光庁では通年で計画していたVJ事業のキャンペーンを、3月の震災後は費用対効果を鑑みて控えていた。今回、震災から半年というタイミングで、10月から本格的にVJ事業のキャンペーンを再開することを決定。中国8億円、韓国4億円、香港1・5億円、台湾1・5億円、そのほかの地域で5億円強と、東アジア4地域を中心とする総額20億円強の大型予算を組み、震災後落ち込んだ訪日外国人数の回復に向け、巻き返しをはかる。これから詳細を決めていく段階だが、訪日旅行を喚起する共同広告や情報発信、トップセールスなど、今のタイミングに合った方法で行うという。
8月19日に開かれた会見で観光庁の溝畑宏長官は、「震災後に行っていたベース事業にプラスして、大規模に展開する予定。日本が元気になった姿を世界にアピールしたい」と力を込めた。
<中国個人ビザ緩和「訪日客増に期待大」>
9月1日から訪日中国人個人観光ビザの発給要件が緩和されることを受け、溝畑長官は「作年7月からの用件緩和の試行期間にビザの発給件数が大幅に増加した。今回も訪日外客数の増加へ大きな弾みとなるだろう」と期待を語った。
JNTO発表による7月の訪日外客数は、前年同月比36・1%減の56万1700人。3月12―31日が同72・7%減、4月が同62・5%減、5月が同50・4%減、6月が同36・0%減と着実に減少幅を縮小してきたが、7月は減少幅が横ばいとなった。溝畑長官は「訪日外客数が着実に回復してきていたが、ここにきて回復が停滞している。訪日送客のポテンシャルの高い中国は秋の国慶節を迎えるに当たって、ビザの用件緩和が大きな追い風となることを期待している」と話した。
<原子力賠償、範囲拡大「支払いを迅速に」>
また、8月5日に原子力損害賠償紛争審査会から「原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」が出され、観光業の賠償が福島県から茨城県、栃木県、群馬県まで、インバウンド客のキャンセルについては全国へと、損害認定の範囲が大幅に拡大。溝畑長官は「観光業への賠償範囲が大幅に拡大されたことは、大変ありがたい。今後の最重要課題はホテル・旅館などに対し、東電の賠償が適切かつ迅速に支払われること。観光庁でもできる限りのバックアップをしていきたい」と話した。