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2年連続70兆円割れ、節約志向で客単価が下落

2011年9月10日
編集部

 日本生産性本部余暇総研がまとめたレジャー白書2011によると、10年の余暇市場規模は前年比2・1%減少の67兆9750億円で、2年連続70兆円割れとなった。景気低迷に加え、消費者の節約志向は強く、多くの業界で客単価の下落が止まらなかった。

<旅館の売上8%減少>

 余暇活動の参加人口順位は昨年に引き続き第1位は6290万人のドライブ。以下、2位が6150万人の国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)、3位が6040万人の外食(日常的なものを除く)、4位が5150万人の映画(テレビは除く)の順。長く第1位を維持してきた外食は昨年初めて首位を転落。今年は3位にとどまり、参加人口も減少している。

 一方で順位を伸ばしているのが文化・学習関連。「はやぶさ」帰還後の科学ブームなどもあり、動物園、植物園、水族館、博物館(ミュージアム)は4800万人の第5位、学習、調べものは3450万人の第13位に入った。

 余暇市場動向を部門別にみるとスポーツ部門は同1・4%減の4兆150億円。ブームが続くランニング関連用品・スポーツ自転車のほか、アウトドア用品が堅調に推移した。ファッショナブルなアウトドアファッションを身につけて山に登る若い女性「山ガール」が増加している。サービス市場ではゴルフ・練習場は伸び悩んだがフィットネスクラブはスクール会員が増えてマイナス基調が底を打った。

 趣味・創作部門は同6・3%増の10兆8840億円。映画の興行収入は同7・3%増加し史上最高額を更新した。「3D映画元年」といわれた09年に続きヒット作に恵まれ、客単価も伸びた。テレビも家電エコポイント制度の恩恵を受け、過去最高の売り上げを記録した。

 娯楽部門は同4・7%減の43兆5610億円。パチンコ市場は大きく減少しついに20兆円を割り込んだ。

柳田研究員
柳田研究員

 観光・行楽部門は、同1・0%増の9兆5150億円。旅行業の取り扱いは同2・9%増加した。国内旅行の同2・1%減に対し、海外旅行は同12・1%増と大きく伸びた。ホテルの売り上げは9760億円の横ばい。旅館は同8・1%減の1兆4570億円と落ち込みが大きかった。稼働率が下がっており、客単価も長らく減少が続いている。施設数の減少は続いており、ついに客室数はホテルが旅館を上回った。遊園地・テーマパークは全般に厳しいなかで「東京ディズニーリゾート」は過去最高の売り上げを記録した。全会員制リゾートクラブは最大手「リゾートトラスト」の1人勝ちで市場規模は拡大している。乗用車市場は、エコカー減税やエコカー補助金の効果が年頭から持続し、長期低迷から一時的に回復した。

<震災後のレジャー>

 緊急特集では、3月11日発生した東日本大震災により強大な衝撃を受けた国内のレジャー産業を分析。レジャー・観光産業は消費自粛の影響を正面から受けた。旅行業においては、訪日外国人客は激減し、東北地方を中心に国内旅行客も減少した。宿泊産業においては、震災直後は宿泊客が見込めず営業自粛するケースが目立った。外国人の予約キャンセル、需要減少が全国的に大きな痛手となった。

 一方で今回の震災は、レジャー観光産業の社会的役割が問い直される機会にもなった。社会的役割として、(1)元気づける(2)日常を支える・取り戻す(3)きずなを深める(4)文化の掘り起こし、発信(5)「生活のリズム」をつくる(6)ソフトパワーの発揮(7)リスクに備える――の7つを抽出・整理。例えば(5)の「生活のリズム」をつくるは、電力需要ひっ迫の関係から輪番休業や長期休暇、サマータイムなどへの企業・業界の取り組みが増加、人々の「仕事―余暇時間」の枠組みが大きな影響を受けた。

 企業の取り組み次第では、積年の課題である年次有給休暇取得促進問題に風穴を開ける可能性も出てきた。こうしたいわば「社会実験」を「生活のリズム」に定着させていくには、レジャー産業が主導する受け皿作りが必須と指摘する。

<レジャーの「デジタル化」>

 特別レポートのテーマは、スマートフォンやツイッターなどの情報通信機器やサービスが急速に普及するなかで確実に進むレジャーの「デジタル化」。レジャー活動種目単位別のデジタル活用度を調査。これは本来の参加率に対する情報通信機器を使って参加した割合を算出したもの。第1位は62・8%で「サッカーくじ(トト)」。以下、「学習調べもの」(59・1%)、外食(日常的なものは除く)」(55・3%)の順。

 上位20種目のなかには「公営競技系」「ゲーム系」「創作系」「鑑賞系」などの種目グループが見られた。柳田尚也研究員は「デジタルの中で自己完結する楽しみ方ではなく、デジタルがリアルの参加を促し、相互に活性化する展開が生まれている」と語った。

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