“人と金の規模足りない”、松山新理事長が会見
日本政府観光局(JNTO)の新理事長に就任した松山良一氏は10月3日に会見を開き、日本の観光の問題点を指摘。諸外国と比較し「人と予算の規模がまったく足りていない」と語り、ビジットブリテンキャンペーンが成功している英国や、観光に力を入れ急成長しているマレーシアを例にあげ、「研究してヒントを得たい」と語った。
松山理事長は3つの抱負として(1)安全・安心の情報発信による訪日への信頼回復(2)観光振興による雇用の造成と地域の活性化(3)観光庁や地方自治体、民間企業、業界団体などとの連携をあげた。また、「選択と集中」の重要性を強調し、「民間企業では必ずボトムラインがあり、伸びそうなところに資源を集中する。観光も、より効果が高まるよう『選択と集中』で全力投球したい」と語った。まずは中国・韓国の国慶節と春節など、重点を絞ったキャンペーンを観光庁と取り組んでいくという。
中長期的な展望として、日本のブランド戦略の見直しをあげる。外国での日本のイメージが、トヨタやパナソニックなどに代表される「低コストでハイクオリティな製品を作る」という80年代の「ものづくり」のイメージに終始していることを紹介し「新しい日本のイメージを打ち出したい」と話した。「夜に外へ出て安全なのは日本だけではないか? 日本の安全性やおもてなし、日本人の思いやりの心など、ソフト面のイメージをもっと打ち出したい」と展望を述べ、「世界では観光客を呼び込むため熾烈な競争となっている。日本に来たいとどう思わせるか、しっかり対策を練りたい」とした。
また、現在13カ所にある海外事務所の拡大については「現状を把握して検討したい」としつつも、他国の海外事務所の多さに触れ「数が多いことは力。海外事務所を増やしていきたいという強い希望を持っている。予算を国交省と相談しながら、観光の世界大戦争に参加したい」と結んだ。