風評跳ね返す勢いを、秋保で復興支援会議開く
全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は9月26、27日、宮城県・秋保温泉の「篝火の湯緑水亭」で全国の支部長が集まり東日本復興支援会議を開いた。引き続き被災地向けの復興支援ツアーや被災地での支部研修会の実施に努めることなどを確認した。
二階会長は「我われは風評被害を跳ね返す勢いを持たなければいけない。先般、紀伊半島も台風12号の甚大な被害を受けたが、和歌山県の選挙区を回り、我われは自力で立ち上がることが大事だと伝えた。その頑張りが東北の被災地と共鳴し合い、1日も早い復興につながる」と話した。また、橋梁が破損するなど大きな被害を受けた紀勢線の今後の運行計画をあげ「串本―紀伊勝浦間は開通。新宮までは年内復旧の目途がついた。まずは応急復旧でいい。いつ開通するかわからないのとでは意気込みが違う」と語った。観光による復興支援については「我われは観光の専門家として、地域にある物語を掘り起こし盛り上げていくのが使命。一層の奮起を」と呼び掛けた。
若生正博宮城県副知事は同県の復興状況について、交通インフラは完全復旧したとしたうえで「今回の被害の特徴は海沿い地域の地盤沈下だった。平均で60―70㌢沈下した。現在、減災の思想で地域づくりをしている。防波堤の高さは抑え、高台移転や、道路や線路の多重防御で対応。避難タワーや避難ビルも建設する。復旧に3年とみている」と説明した。「今とくに助かっているのはボランティアツアー。延べ30万人を超え、1泊は温泉に泊まっていただいている。震災に絡んでこうした新たな旅行商品が必要。旅行のプロとして皆さんから、いろいろなアイディアをいただきたい」と話した。
溝畑宏観光庁長官は「震災から6カ月がたち、少しずつ復興支援の動きが弱くなっているなか、『頑張れ東日本』と声高らかにこのような会を開いていただくのはありがたい」とし、「皆さんの要望をお聞きし、国内観光活性のために積極的な仕掛けをしていきたい」と述べた。
また、被災地7県の各支部長から、経過報告が行われた。福島県の小林次郎支部長は、東京電力の補償請求の手続きをあげ「始めから損害の20%は、原発が原因ではないとし、残りの80%が補償されるわけでもない。損害額算出の数式は複雑怪奇で、数字を当てはめることすらできない。支部の会員110社は疲弊し、資金も底をつこうとしている。近く説明会があるが、東電に怒りが向かなければいいが」と思いを語った。一方で「県をあげて28億円の補正予算をつけていただいた。これを活用した福島っ子体験補助事業で助かっている。夏休みに外で思い切り遊べない福島の子供たちに、旅行業者を経由して、他県で体験活動をしてもらうもの。保険も手厚くカバーできる。この事業でいささか息をついている状況」と報告した。
同協会がまとめた各支部の活動によると、14支部が見舞金・寄付活動を行い、研修旅行や支援・義捐金ツアーは20支部が実施。6月には各支部からの義損金747万8千円、および災害見舞金を、各支部を通じて被災した会員148社に支給した。