早起きは三文の徳、朝涼みしながら観光を 観光庁
2018年7月13日(金) 配信
早起きは三文の徳――。観光庁が行った訪日外国人ニーズ調査によると、85%が早朝開館などの企画(朝観光)へ参加意向を示していることが分かった。全国約600カ所の公的施設らの回答をとりまとめた。とくに神社・仏閣や名所・史跡、庭園が人気だという。朝観光参加者の約3割で旅行消費額の増加がみられた。セ氏30度を超える真夏日が続く7、8月は、朝涼みしながらの朝観光が新たな人のにぎわいを生み出しそうだ。
朝観光へのニーズは高く、地域経済も潤う。朝観光参加者の約30%は、交通・宿泊・飲食・土産などの消費額が増えた。朝観光の支払い可能金額は、欧米豪旅行者の半数が平均から1200円以上高かった。さらにこのうちの4分の1は約2400円だった。
「昼の混雑時ではなく、朝に観光するため、混雑解消・需要分散もみられる。朝早くに観光するために宿泊も増え、朝食を取るために地域の飲食店もにぎわう。地域全体にメリットがある」(観光庁観光資源課)と期待を寄せる。
京都市の世界遺産「二条城」では取り組みが進んでいる。朝・夕の涼しい時間帯を楽しめるよう、昨年から夏期限定で入城時間を拡大し、朝食プランなどを提供している。今夏は通常より約45分早い午前8時ごろに開城する。
昨年も早期開城を実施していたが「(早期開城後)朝早くに来られる方も、6割ほどが外国人の方だった」(元離宮二条城事務所)と人気だ。
朝食プランは国内客でにぎわう。通常非公開の香雲亭で清流園を眺めながら京料理を楽しめる。昨年はほぼ予約が埋まるほど好評だった。今年もすでに(7月13日現在)7月分は予約が埋まり、8月は7割、9月は5割程度が予約済みだという。「(早朝開城の)ニーズがあったということ」(同)と自信をみせる。
一方、朝観光促進のハードルは高く、取り組む施設は少ない。調査では全体の20%程度しか朝観光を企画していなかった。早朝の人員配置や金銭的なコストが懸念材料になっている。実際に朝観光を体験した訪日外国人が払った金額は「無料」が約7割と儲ける仕組み作りも遅れている。
「付加価値を打ち出して適正な価格を設定すべき。ターゲットもしっかり定める必要がある」(観光庁観光資源課)と指摘する。
これまで、特定の地域や交通などに過度な集中があるなか、朝・夜の観光コンテンツ作りは進んでいなかった。政府の取り組みも「まだまだ始まったばかり」(同)と、今後は地域全体で推進する意識の醸成や環境整備がカギとなりそうだ。