【特集No.498】最上峡芭蕉ライン観光・鈴木社長に聞く 水上観光船30選1位の魅力とは
2018年7月20日(金) 配信
旅行新聞新社が昨年度から開始した「プロが選ぶ水上観光船30選」の初代1位に山形県最上郡戸沢村の「最上峡芭蕉ライン観光」が輝いた。同社の水上観光は、松尾芭蕉が詠んだ句「五月雨を あつめて早し 最上川」でも有名な、日本三大急流の1つ「最上川」を舞台にした舟下りだ。最上川は同一都道府県内を流れる河川としては国内最長で、山形県内では「母なる川」と呼ばれている。魅力について鈴木富士雄代表取締役社長・CEOに話を聞いた。 【飯塚 小牧】
□“人”が最大の資源 人財育て商品力高める
――会社の成り立ちを教えて下さい。
1964(昭和39)年、東京オリンピックの年に地元住民が出資する株式会社として設立しました。戸沢村は、毎年のように最上川の洪水があり、また冬は3㍍以上もの雪が積もる豪雪地帯であったために、山形県の中でも過酷な地域でした。そのような環境下で、貧困から抜け出そうと、半世紀以上前に住民たちが立ち上がったのが当社のルーツです。つまり、当社の成り立ちそのものが、今でいう地域の資源と人財を生かした「地域活性化事業」なのです。
戸沢村は、農業が主な地域の産業です。そのかたわら、稲舟で観光用の舟下りをしていました。紅葉時期の最上峡は、とくに絶景であり、多くのお客様が舟下りへいらっしゃいました。
そのため、先人たちは、最上峡という地域資源を生かした「舟下り」を本格的に事業にしようと考えたそうです。
創業当初は、わずか2艘の手漕ぎ船だけでした。67(昭和42)年には国の旅客不定期航路事業として認可を受けました。今でも、最上峡で国土交通省が許可する一般旅客定期航路事業は当社のみです。翌68(昭和43)年に船外機での運航を開始しました。現在は17艘で、通年定期船運航を行っております。
――利用者の推移や事業の動向はいかがですか。
乗船客数は1992(平成4)年の31万5347人が最多です。当時、当社のメインは、遠方の団体のお客様でした。しかし、「バスを何台も連ねた団体のお客様」は既に激減しております。
団体旅行から個人旅行へと旅行形態が変化したことや、バス料金の適正化、東日本大震災の影響など観光業界をとりまく外部環境が激変したこと。このような要因が重なり一時は、ピーク時の3分の1の乗船数まで落ち込みました。
しかし、時代の変遷に応じて変化しなければ企業が生き残れないのは当然の流れです。そのためお客様の目線に立った対応を心掛けています。
その1つが……
【全文は、本紙1720号または7月26日以降日経テレコン21でお読みいただけます。】