富士急ハイランドがキャッシュレス化、世界初の「ウィーチャットペイ旗艦遊園地」に
2018年7月20日(金) 配信
富士急ハイランドは7月19日(木)から、世界で8億人が利用する中国系モバイル決済サービス「ウィーチャットペイ(微信支付)」を全エリアに導入した。オンラインでもチケットが購入可能になり、中国人観光客がキャッシュレスで楽しめるようにした。世界で初めてのウィーチャットペイ旗艦遊園地として運用を始める。今後は富士山エリアに導入をより進め、旺盛な中国人観光客の誘客に本腰を入れる。
ウィーチャットはテンセント社のSNS(交流サイト)アプリ。月間のアクティブ(毎日取引がある状態)ユーザーは10億人で、このうち50%は毎日90分以上利用しているという。ウィーチャットの決済サービス「ウィーチャットペイ」のアクティブユーザーは8億人で、中国本土の導入店は100万店舗を突破。大きな力を持っている。
すでに昨年度に中国人が多く訪れる富士急グループ主要29施設には導入済み。今回は富士急ハイランドで、ほぼすべての支払いがウィーチャットペイで可能になった。試験的にウィーチャットペイ専用の無人レジも設置。最短30秒で商品が買えるという。
集客も加速させる。ウィーチャット上では公式アカウントを取得し、10億人のアクティブユーザーがいるプロモーションプラットフォームを活用。大規模なプロモーションを展開し来訪経験がない潜在顧客に訴求していく。このほかウィーチャットの「ミニプログラム」で、オンラインチケットの販売を、日本の事業者として初めて開始した。
富士急行の堀内光一郎社長は同日に開かれたセレモニーで「富士急グループほぼすべての決済で、ウィーチャットペイが使える。富士山エリア、富士急ハイランドをより楽しんでもらえるよう、テンセント社との連携をより深めていく」と協業の姿勢を鮮明にした。
テンセント社のウィーチャットペイ担当バイス・プレジデント李培庫氏は「我われが持つプラットフォームで引き続き支援していく。スマート化、デジタライズ化されたテーマパークを目指す」と意気込みを語った。
富士急行グループは90年以上前から富士山の観光化に取り組む。富士山エリアで交通や遊園地、飲食店、宿泊施設などで大きなシェアを誇る。
同社によれば富士山エリアの観光客は16年で3600万人だという。11年は3千万人ほどで、年間約120万人ずつと、大きく伸びている。近年は訪日外国人の増加も目立ってきた。河口湖駅の訪日外国人利用者比率は14年度が35%だったが、17年度は5割以上を占めるようになった。
一方、訪日外国人が増えるなか課題も出てきた。旅行消費に関わる決済環境やチケット購入方法の煩雑さが問題となっていた。今回のウィーチャットとウィーチャットペイ導入により、課題解決をはかっていく考え。
訪日外国人旅行者のなかで、訪日中国人旅行者数は3年連続で最多となっている。17年は約736万人に達し、18年1~6月期累計はすでに400万人を超えた。国内では中国人観光客の取り合いが激化している。
今後はウィーチャット、ウィーチャットペイの機能をより取り込み、富士急ハイランドだけでなく、富士山エリアの受入環境を整備。中国人観光客の長期滞在を促し、さらなる消費・集客を狙う。