創造的復興構想を提言、東北シンポの成果報告
国際観光施設協会(中山庚一郎会長)は12月1日、東京都内のホテルで忘年交歓会を開いた。中山会長は11月9日、岩手県遠野市において協会主催で開いた東北復興構想を話し合うシンポジウムの成果を報告した。
同協会は被災地の特徴的な地形、リアス式海岸を使って美しい観光地をつくる「陸中八海岸・広域環状観光圏構想」をまとめ、政府の復興構想会議に提言。平泉から松島までの100キロを超える地域を結び、8地域を選び美しい海のまちをつくる壮大な構想。
中山会長は「知名度の高い宿施設、料理の達人が腕をふるうレストラン、芸術家村などを誘致し、それを核として地域ブランドをつくる。創造的復興になるのではないか」と語った。シンポジウムには、地元の漁業、酪農、旅館関係者なども出席。多くの賛同を得られたという。
当日の講演は、日本政策投資銀行参事役で、復興構想会議検討部会専門委員を務める藻谷浩介氏が登壇。藻谷氏の近著「デフレの正体」(角川Oneテーマ21)は、45万部を超えるベストセラーとなった。
藻谷氏は、日本の対貿易赤字の代表国としてスイス、フランス、イタリアをあげ、「結局、先進国の競争力は技術力ではなく、文化力」とし、「文化はある程度人件費が払われ、内需のあるところにしか育たない。日本にはいいものがいっぱいあるが、どんどん人が減り、内需が減る現状では、競争が成り立たなくなるのではないかと心配している」と語った。さらに3国に共通するのが観光ブランド。「現代社会においては国の強さは、観光収支と食品、繊維の強さではかる。ハイテクは20世紀。21世紀は生活文化と観光の時代」とまとめた。