11年訪日外客数622万人、27・8%減と下げ幅過去最大
日本政府観光局(JNTO)がまとめた2011年の訪日外客数は、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の影響により、過去最高であった前年から27・8%減少し、621万9千人となった。大阪万博の反動があった1971年を超え、過去最高の下げ幅となった。月別では4月に同62・5%減を記録したが、12月には同11・7%減までもどり、減少幅は徐々に回復している。
訪日外客を国別にみると、26・7%で最大のシェアを占める韓国は、年間で同32・0%減の165万8千人。12月単月では前年同月比30・1%減と回復が遅れている。放射能汚染に関して非常に敏感であることと、大幅な円高ウォン安も影響している。
中国は年間で同26・1%減の104万4千人。4月を底に8月まで4割台の落ち込みが続いたが、10月に前年同月並みに回復し、11、12月は3割台の大幅な増加となった。20日に行われた会見で、JNTOの松山良一理事長は「尖閣問題の反動を勘案しても、急速に回復している。ビジット・ジャパン事業では旅行会社・メディア関係80社102人を招請し、現地を見てもらうなど、風評被害の払拭に全力で取り組んだ。また、中国版ツイッター、ウェイボーや、新聞、雑誌などを積極的に活用した安心・安全の情報発信の取り組みも奏功した」と説明した。
台湾は最も早く回復の兆しが見られた。米国、英国とともに12月には5%前後の減少にまで改善し、年間では2割台前半の減少率となった。
観光客、商用客、その他(留学生、駐在員、その家族など)の目的別に推移をみると、4月のその他が8割台まで急激に増加した。これは震災発生直後、日本から退避していた人々が戻ってきたため。観光客は4月に8割台まで大幅に減少。10月も同20・4%減の40万4千人と、依然として厳しい水準にある。
一方、11年の出国日本人数は、同2・1%増の1699万3千人となった。上期は(1―6月)は、震災の影響で同3・5%の減少だったが、7月からプラスに転じ、下期(7―12月)は同7・2%増となった。史上最高水準の円高や、「節電の夏」による長期休暇を実施する企業の増加、LCCの乗り入れなどが海外旅行の好調の要因となった。
松山理事長は12年の訪日外客の展望について「やるべきことをしっかりやり、過去最高の861万人を超えるところを目指したい」と語った。