米沢市も賠償対象へ、佐藤会長「確かな一歩」
福島第一原子力発電所の事故による風評被害で国内観光客が減り損害を受けたとして山形県旅館ホテル生活衛生同業組合(佐藤信幸会長)が東京電力に対し賠償を求めていた問題で、佐藤会長は1月30日、東電側の「米沢市を賠償対象とする」という方針を受け入れる旨を本紙に明かした。これにより、原発の観光業風評被害の賠償対象は昨年8月の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針で限定された福島・茨城・栃木・群馬の4県から、千葉の16市町村、山形県の米沢市へと拡大する。
山形県旅館ホテル生活衛生同業組合は昨年8月の中間指針発表後、山形県も賠償対象とするよう数回に渡り要望。11月8日の「第1回風評被害相談会」から1月25日まで計6回、東電側との協議の場を持ってきた。東電側は、放射能線量の高い地域ではなく、農産物の出荷制限がなかったことから、山形県を国内観光業の風評被害賠償対象地域に認めない方針を貫いていた。
しかし、1月25日の「第6回風評被害相談会」では、米沢市は福島県と隣接し「会津・米沢地域観光圏」を形成するなど観光資源が一体となっていることから、東電側が米沢市を賠償対象に加える方針を提示。県全域の賠償を求める同旅館組合として「一部地域では納得できない」と拒否する声と、「確かな一歩」と評価する声の両方があがったという。
同旅館組合の佐藤会長は1月30日、本紙に対し、米沢市への賠償対象拡大を「受け入れる」方針を話した。佐藤会長は「放射線量が低く、農作物の出荷制限のない地域での風評被害の認定は初めてなので、一歩前進した」と評価。ただし、「県全域での賠償を求める」方針は変わらず、「今後の確かな一歩」とすると力を込めた。