西日本豪雨状況などを報告、地域調査とクルーズ客の数値を初公表 観光庁
2018年8月1日(水) 配信
観光庁の田村明比古前長官は7月18日に会見を開き、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の状況などを報告した。
訪日外国人消費動向調査では、都道府県単位の地域調査と、クルーズ調査を今年から新たに実施(関連記事は下記URL)。各都道府県の詳細なデータと、クルーズ客の数値を初公表した。より精緻なデータを提供し、地域ごとの観光戦略に役立ててほしい考えだ。
【平綿 裕一】
田村前長官は冒頭、「(西日本豪雨で)犠牲になられた方々に対してご冥福をお祈りすると共に、被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げたい」と述べた。
同庁は宿泊関係4団体に対し、旅館ホテルにおける被災者受け入れの協力を依頼。被災者の避難場所の確保を進めている。「18日正午現在で1023人分の部屋が受け入れ可能となっており、86人が入所されている状況」と説明した。
他方、直接的な被害がないものの交通機関が被害を受け、高山や下呂などの地域は、客足が遠のいているという。一部で風評被害が進んでいる状況だ。
「引き続き復旧最優先の地域や、風評被害対策が必要な地域など、被災地の状況に応じてさまざまなニーズをしっかり汲み取りながら、災害対応に取り組んで参りたい」と強調した。
□クルーズ客と地域調査「より正確に把握を」
現在の訪日外国人消費動向調査は2010年から始めた。調査の立ち上げ期にはクルーズ船による来訪者は多くなかった。13年は約20万人だったが、17年は約250万人。4年で12倍以上と大きく増えている。
急増した理由の1つは、簡易な手続で一時的な上陸を認める船舶観光上陸許可(一時上陸許可)が、15年に新設されたこと。新設後の15年は、年間で100万人に達した。
急増するクルーズ客を踏まえたうえで、「一般客とクルーズ客の消費動向に差異があると予備調査でわかっていた。より正確に把握するため、今年から新たな調査を実施することとなった」と語った。
一方、都道府県単位の訪日外国人消費動向を的確に把握するための地域調査も、新たに始めた。地域調査に当たっては法務省の協力を得た。従来は1年過ぎなければ、港別の国籍地域別出国者数は手に入らなかった。「法務省の特別な協力で、四半期毎のデータが利用可能になった。これを国籍地域別の1人当たり旅行支出の算出に反映させることで、統計手法の精緻化をはかった」と説明した。
□住宅宿泊事業者1日約80件ペースで増
7月13日時点の住宅宿泊事業の届け出は5867件で施行日の6月15日以降、1日約80件ずつ増えてきている。
違法民泊対策では、観光庁から仲介業者に対し、6月15日時点の取扱物件を報告させた。所管の省庁から関係自治体へ、物件の適法性の確認を依頼。「これを当該仲介業者にフィードバックして、違法物件は削除の要請をしている」とした。今後も順次実施して、いわゆるヤミ民泊の排除へ動きを強めていく考えだ。